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ラップユニット「チェルミコ」が可愛い。“CMに多数起用”の人気のわけは?

 突然ですが、「chelmico(チェルミコ)」を知っていますか? 榮倉奈々が出演する「爽健美茶」や、「Apple Watch」、「日本郵政」などのメジャーなCMで楽曲が起用され、いまかなりキテる女性ラップユニットなのです。
写真は「『四月一日さん家の』chelmicoがオープニングテーマに決定!!」プレスリリースより

写真は「『四月一日さん家の』chelmicoがオープニングテーマに決定!!」プレスリリースより

チェルミコってどんなユニット?

 メンバーのRachel(26歳 本名・渡賀レイチェル)とMamiko(23歳 本名・鈴木真海子)は、2人ともモデル活動をメインにしていました。  Rachelは、「ミスiD 2014」を受賞したんですよ。最初の出会いは、映画『Tokyo Tribe』の撮影現場。ストーリー内のラップシーンに刺激され、Mamikoを誘ったのが「chelmico」結成のきっかけだったといいます。 https://youtu.be/tZ_1-tOpArg  そこから2016年にデビューアルバム『chelmico』をリリースし、2018年には、ハマ・オカモト(28)や、なぜかなかやまきんに君(41)も参加したアルバム『POWER』でメジャーデビューを果たしました。同アルバムの表題曲「Power」はApple Watch Series 4 のCMに起用されています。  この他、現在放送中のTVアニメ『映像研には手を出すな!』(NHK)で主題歌を担当。2020年2月にリリースしたSexy Zoneの7thアルバム『POP × STEP!?』通常版では、菊池風磨のソロ楽曲「HAPPY END」の作詞作曲にも携わっているとか。そして、2月28日には『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)への出演も果たしました

人気の理由は?

 そんな彼女たちの人気の理由が、20代女性の等身大を描いた歌詞。あんまり“等身大、等身大”と言うと嫌がるかもしれませんが、そういう自分たちを客観的に見ているクールさには注目したいところです。  たとえば、<見切り発車で進んじまったね 街の灯りが後ろに消えてく孤独 手ぶらでもなるようにするのさ笑 あら もうこんな時間?>(「Eazy Breezy」 詞・Rachel Mamiko)というフレーズ。感傷にひたってしまった自分を、「あら もうこんな時間?」と、いとも簡単に斬り捨てるスピード感は痛快です。このツッコミがあるから、1人の話者の中に、複数の人格が生まれるわけですね。なかなか風流だと思いました。  このように、ひんやりとしながらも、どこか親近感を覚える言葉遣いと、スムーズでメロディアスなバックトラックとのマッチングが絶妙です。「Balloon」という曲のコーラスには、とても日本語チックな<お守り>なんてワードが出てくるのに、違和感なくハマっていることに驚きました

ちょっと出来すぎ感もあるような…

 ただ、少々気になるのは、色んな意味で上手に出来すぎではないかということ。モデルあがりで見栄えがして、ユーモアとセンスも兼ね備えて、音楽的にもこれといった不備が見当たらない。  つまり、“商品”としての計画的な匂いがあまりにも強すぎるのですね。最初から正解を知っているオトナたちによる、相応の利益を山分けするためのプロジェクトというか…。そんなところがCMウケするのかも、なんて言ったら、少々皮肉がきついでしょうか。  ともあれ、かっこよすぎず、オシャレすぎず、かといって絶対に野暮にはならない。chelmicoのバランス感覚に、色々な意味で現代を感じるのでした。 <文/音楽批評・石黒隆之> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
石黒隆之
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。いつかストリートピアノで「お富さん」(春日八郎)を弾きたい。Twitter: @TakayukiIshigu4
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