南極猫「たけし」を知ってる? 史上1匹だけ、南極に行った猫のその後
第64次南極地域観測隊を乗せて11月11日東京を出発した観測船「しらせ」が、数日のうちに、いよいよ南極の昭和基地に接岸する予定です。
今回参加しているのは観測隊員69人と乗務員177人。南極では、地球温暖化の影響や地質・生物の観測など、さまざまな研究が行われます。
1ケ月以上の船旅では、暴風域でおそろしく船が揺れたり、流氷に阻まれて進めなくなったり、オーロラやペンギンが見えたり……。想像もつかない道ゆきですよね。
ところで、南極地域観測隊といえば、1956年に1次隊と共に南極に行ったカラフト犬のタロとジロが有名です。犬ゾリ隊として19匹のカラフト犬が南極に同行し、予期せぬトラブルによって、やむなく15匹が置き去りに……。1年後、奇跡的に生き残っていたのがタロとジロで、映画『南極物語』(1983年)のモデルにもなりました。
でも実はこの時、オスの三毛猫も一緒に南極へ行っていたのだとか! そこで今回は歴史上最初で最後と思われる南極へ行った猫「たけし」について、国立極地研究所(東京・立川)で取材してきました。
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第1次隊が東京を出発する2日前、動物愛護団体の女性から手渡された一匹の三毛猫が「たけし」でした。
「三毛猫はほとんどがメスなので、オスは珍しくて縁起がいいとされます。そこで“航海のおまもり”として、その女性が連れてきたと言われています」(国立極地研究所 広報・熊谷宏靖さん)。
今なら考えられない仰天エピソードですよね。こうして第1次隊53人とカラフト犬19匹、そして猫1匹が南極へ向かうことになったのです。
たけしという名前は、第1次隊の永田武(ながたたけし)隊長にちなんでつけられました。隊長はとても怖い人だったそうですが、猫と同じ名前に喜びつつも、「コラ、たけし!」などとふざける隊員が続出するだろう、と苦笑していたとか。“Wたけし”として隊員たちからしたわれていた光景が目に浮かびます。
「現在は南極の生態系を保全するために、固有種以外の生物の持ち込みは禁止されていますが、当時はOKでした。たけしはペットとして隊員たちからとても可愛がられていたそうです」(熊谷さん)
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夏でも平均気温はマイナスで、極夜と呼ばれる太陽が昇らない時期もあるような厳しい環境と閉鎖的な空間で過ごす隊員達。その中で自由気ままに、いつもマイペースに過ごす猫の存在はとても大きな癒しになっていたでしょうね。
当時の写真を見るといつも隊員達のそばに寄り添い、行事などの集まりにもちゃっかり参加して、大切な家族だったことが分かります。
実は猫も同行していた。「たけし」はなぜ南極へ?
ペットとして隊員達から可愛がられた
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