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NHK『大奥』|病に伏した御台所、心身を犯された源内…登場人物たちの描かれなかった時を思い涙

 よしながふみの傑作コミックを実写化し、好評を博してシーズン2に突入した男女逆転『大奥』(NHK総合)。  10日に放送された第12回では、若い男子を襲う奇病・赤面疱瘡への“サボン”こと、ワクチンへの第一歩となる道のりが、青春ドラマのような明るさで進む一方、物語の暗転を予感させた。  また、登場人物たちの描かれなかったそれぞれの時に思いを巡らされた。

意欲を増す、青沼(村雨辰剛)の蘭学講義

大奥

(C)NHK

 当初、鬼と揶揄されることもあった“異人の相貌”である青沼(村雨辰剛)の蘭学講義には、まったく受講する者が訪れなかったが、10代将軍家治(高田夏帆)とその御台所・五十宮(趙珉和)が顔を見せ、五十宮が講義を受け始めたことで、にぎわいを見せるようになっていく。  そして、その蘭学への学びの真の目的が、赤面疱瘡を撲滅するためだと田沼意次(松下奈緒)により明かされたことで、男たちの意欲は増していった。

「ありがとう」感謝だけを口にした御台所

大奥

(C)NHK

 ひとつの目的のために皆で協力して進む空間には、身分の上下や、損得勘定、足の引っ張り合いといったものが見えず、陽の気に溢れて見えた。そんななか、五十宮が「ありがとう」の言葉を青沼に残し、病で命を落とす。  蘭学の講義、皆との時間、赤面を駆逐するという高い志が、自分の心に空いた隙間を埋めてくれたと感謝して。 その際、将軍の御台所だからこそ背負ってきた思いが、自身の口から語られたのだが、「虚しさなんてどこへやら」というほど「楽しかったから」こそ、今みなと別れることは少なからず無念だったに違いない。  それでも五十宮は、その無念は胸に、「ありがとう」の感謝だけを口にした。もちろん、すべてを上回る「ありがとう」があったからには違いないが、そこに至るには、いくばくかの時はあったはず。その重さを仲間たちは受け止め、本気になった。
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心も体もひどい傷を負った源内
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