by 美容医療研究協会
監修医師:今泉 明子先生
【経歴】聖マリアンナ医科大学卒業後、同大学院にてアトピー性皮膚炎に対する研究で医学博士号を取得。
最先端の美容医療を学ぶため渡米、帰国後はヒアルロン酸やボトックスなどの注入治療をはじめとした様々な治療で、大手製薬会社(アラガン・ジャパン)から「注入認定指導医」に任命、さらに国際美容外科学会のファカルティーメンバー(安全かつ正しい最先端の注入治療を牽引する医師)に選ばれる。
監修医師:佐藤 英明先生
【経歴】1990年北里大学医学部卒業後、同大学病院形成外科入局。その後は多くの総合病院や美容外科で研鑽を積む。最年少(2001年当時)で北里研究所病院 美容医学センターのセンター長に就任するなどの記録を持ち、2022年10月CLINICA BellaForma開院。日本美容外科学会(JSAPS)をはじめ、様々な学会に所属しており、多くの資格も保持している。
プチ整形としてすっかりお馴染みになった注入治療。「しわやたるみにヒアルロン酸!」「気になるエラやふくらはぎにボトックス!」と、ほとんどの美容クリニックで注入治療が可能と言っても過言ではないほど非常にポピュラーな治療となりました。外科的な美容医療の施術に比べるとかなり安価ですし、お試し感覚でちょっとやってみようかな…と、初めての美容医療治療として注入治療を選ばれる方も多くいらっしゃいます。
女子SPA!読者の方々の中にも、「最近ほうれい線が気になるからヒアルロン酸注入やってみようかな」「海外ドラマに出てくる女性のような唇は、やっぱりヒアルロン酸よね」と、少しでも治療について考えたことがある方がいらっしゃるのではないかと思います。“短時間&痛みが少ない&安価”の三拍子が揃っていて、嬉しい変化がもたらされるのであれば、そんな素敵な治療は他にないですよね。

治療を受ける決断をしたら、さぁ、いよいよクリニック選びです。最近はインスタグラムやTik TokなどSNSで情報発信しているクリニックがとても増え、症例写真も気軽に見ることが可能な時代になりました。女子SPA!読者の方々も、まずはSNSを検索される方が多いのではないでしょうか。SNSにアップされているたくさんの症例写真を見て、「注入だけでこんなに変われるなんてすごい!早く治療を受けたい!」と、ますます期待に胸を膨らませることと思いますが、ここで全てを鵜呑みにしてしまうのはちょっぴり危険です。
ご自身のことを少し思い返してみて頂きたいのですが、友人とレストランや旅行先で写真を撮る時、多くの方が携帯で撮影しますよね。その時、少しでも可愛く撮れるようにとアプリを使って撮っていませんか? そう、いわゆる“加工”です。実は症例写真も簡単に加工ができてしまうため、中にはこっそりと加工してある写真が混ざっている可能性が大いにあります。ですから、症例写真だけでクリニック選びを行うことは、実は非常に難しいことなのです。
「でもでも、注入治療って、そんなに難しい治療じゃないでしょ?」「効果が何年も続くわけじゃないし、万が一失敗されたとしても、効果が消失するまで耐えればいいだけのことじゃない?」こんな風にお考えの方、それは大変危険です。“メスを使わない=簡単な治療”という考えをもしお持ちでしたら、また、そう考えている方が近くにいらっしゃいましたら、ぜひこれからお伝えすることを周りの方にシェアして頂きたいです。

注入治療は外科的な治療と異なり皮膚の中を覗くことができないため、筋肉や神経などの構造がどうなっているのかが頭の中に知識としてしっかりと入っていることがまず非常に重要です。手術の解剖学を理解していればいいのかというと、そう単純な話ではなく、注入治療には特殊な知識が必要であり医学生時代の知識だけでは不十分。そのため、丁寧に学び直しをしなければ安全性の高い注入治療を行うことは難しいのです。
その他にも、使用製剤と治療器具を最良な組み合わせで使えるか、針の深度や角度が適切かなどの知識と技術、また、皮膚内部に注入していくわけですから非常に鋭敏な感覚を持ち合わせていることが必要です。
これらのことを知ると、注入治療が簡単な治療だなんて、とてもじゃないですが思えないですよね。注入治療はお顔への治療がほとんどですが、お顔にはたくさんの神経があり、ほんの少しの針の刺し違いで合併症や後遺症、最悪の場合は失明などの致命的な事故に至ります。
消費者庁、厚生労働省、国民生活センターへの相談件数が年々増加しているという悲しい現状を打破するため、今年発足した注入治療の学会(AMA=エステティックメディカルアカデミー)では、皮膚科専門医と形成外科専門医が協力し合いながら、患者様により安全な治療を提供できるように真剣な学び合いが繰り広げられています。
なぜ、皮膚科と形成外科なのか。たとえるなら、レストランでシェフとソムリエが互いの知識を組み合わせながら料理とワインの最高のマリアージュを完成させるのと少し似ていて、互いに不足している部分を補い合いあったり組み合わせたりしながらより安全性の高い、効果的な治療を生み出していくことができるからなのです。

クリニックによっては、どんな製剤を使用したのかを教えてくれない医師がいるという、何ともビックリするような現実があります。まずは、正しい情報をきちんと説明をしてくれる医師を選ぶことが大切です。使用製剤についての説明はもちろん、施術後に一体どんなことが起きるのか、内出血や多少の腫れなど、起こりうる可能性のあるリスクについても十分に説明してくれ、何か起こった時にはすぐに対処してくれる医師を選びたいですね。
それから、治療には経験が大切なのですが、知識がない医師はいくら経験があっても、事故が起きていることを理解していないこともありますので(かなり驚きですが事実です)、学会に所属し熱心に学び続けている医師を選ぶことも大きなポイントです。
最後に、これは人間性の問題になりますが、同業者の悪口を言わない医師が良いですね。単純に悪口を聞いていて良い気分にはなりませんし、そんな医師に安心してお任せしたいとは思いづらいものです。医師と患者の相性も重要ですので、いくつかのクリニックでカウンセリングを受けてみて、ご自身の性格にピッタリと合う正直で誠実な医師を選んでくださいね。
1つ事故が起こると注入治療自体が「悪」となってしまう風潮がある現代。決してそうではないことを声を大にしてお伝えしたいです。注入治療はメスを使わずに、見た目の印象を自然な形で変化させることが可能なとても素敵な治療です。
正しい知識と技術をもった医師が安全性の高い治療を提供できるクリニックが増えるよう、若い世代の医師への伝道師として注入治療の学会(AMA=エステティックメディカルアカデミー)は活動を開始しました。そして、事故を少しでも減らし、注入治療によって笑顔になる人が増える世の中を目指しています。読者の方の注入治療への理解や認識が少しでも変化し、お役に立てたのであれば嬉しいです。
今泉スキンクリニック 公式HP
〒106-0032 東京都港区六本木7-18-8 第Ⅲ大栄ビル 6F
CLINICA BellaForma 公式HP
〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目3-5 16階
<文/美容医療研究協会 監修/今泉 明子先生、佐藤 英明先生 提供/美容医療研究協会>