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NHK『大奥』、“怪物”仲間由紀恵に魂の叫びは通用しない。理不尽の連続が辛すぎた

大奥

(C)NHK

 ドラマ『大奥』(NHK総合)シーズン2の第13話が10日に放送され、医療編の前編にあたる3話分が終了した。  これにより平賀源内(鈴木杏)、田沼意次(松下奈緒)、青沼(村雨辰剛)が物語から退場。“理不尽”な出来事の連続に「つ、辛すぎる」と心えぐられる展開だったが、しかし彼らの残した種は後編へと引き継がれていく。 【画像をすべて見る】⇒画像をタップすると次の画像が見られます

鈴木杏の源内と村雨辰剛の青沼が生んだ苦しくも心に残るシーン

 シーズン2の初回にあたる第11話での登場シーン。新天地の空気を体いっぱいに吸い込み「来たぞ、長崎~!」と両手を広げる鈴木が現れた瞬間から、生命力に満ち満ちた源内がそこにいた。当初はまさに原作から抜け出たようだと感じたが、シーズン2もまた、原作のコミックの魅力とはまた異なる、生身の人が演じるからこそ生まれる力を感じさせるキャスティングだと、回を重ねるごとに思い知らされていった。  一橋治済(仲間由紀恵)の命で動いた女(佐藤江梨子)の指示により、男たちに強姦された源内は、梅毒をうつされたことがわかる。  蘭学でも梅毒を治すことはできないと知り、さらには最後には気がふれる可能性もあることに「生きてるだけじゃダメなんだよ! そんなの平賀源内じゃないんだよ」と取り乱す源内。「死にたくないよ、青沼さん。死にたくないよ」と泣きじゃくる姿が見ていられないほどに苦しい。
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「死にたくない」と泣く源内と、抱きとめる青沼の姿は原作にも描かれているが、原作の良さとはまた違う、快活さに鈴木ならではの愛らしさと激しさを足した源内と、大きな優しさが芯を通る、村雨の演じる青沼の相乗効果が生み出す温度感が生まれていた。

「あなたがいたから」の言葉が、源内を再び動かす

 青沼から源内のことを聞いた意次は、源内のもとを訪れる。そして仔細には一切触れぬまま、「少しはわかりましたか。神出鬼没される側の気持ちが」とサプライズで来たのだと理由をつけて、褒美として心から望むものを与えたかったとのだと、女子(おなご)の蘭学の禁が解かれたことを話す。 「これでやっと、やっとおなごがお腕を振って蘭学を学べるようになるんだ」と喜びをかみしめる源内に、意次は「平賀源内がいたから、この門戸は開かれたのです」と源内の目をまっすぐに見つめて伝えた。  女だったばかりに、蘭学を学ぶことができなかった源内。その禁がやっと解かれた。その喜びは計り知れないが、同等に、“あなたがいたから”との言葉、思いも、何よりの褒美になったに違いない。  そして、源内はうれし涙をぬぐう。これで終わりじゃないと。いっときは、らしい光を失っていた源内だったが、静養で寿命を延ばすのではなく、命を削ろうとも、意次が吉宗から引き継いだ赤面撲滅の実現への一助となるべく、旅に出る。そして見事、“人痘接種”への道を開くのだった。
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容赦のない怪物
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