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NHK『大奥』、“怪物”仲間由紀恵のおぞましい美しさと、その正体に気づいた将軍夫婦

大奥(C)NHK

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NHK総合ドラマ『大奥』第14話が24日に放送された。じゃま者を排除し、将軍の母となって権力の座を手にした、美しければ美しいほど、より一層恐ろしい、仲間由紀恵演じる一橋治済、改め徳川治済の怪演にくぎ付けになりながら、その“怪物”によって、はじめと終わりでは、それぞれにまるで別人のようになった将軍夫婦の姿が印象に残った。 【画像をすべて見る】⇒画像をタップすると次の画像が見られます

正論を言った松平定信を、将軍の母があっさり罷免

冒頭から、「はあ……」とため息をつきながら、お鈴の間に歩いてくる11代将軍・徳川家斉(中村蒼)。 すっかり様変わりした大奥は、美男ならぬ美女三千人が侍る場所となった。家斉の後ろに続くは、母の治済と、御台所である茂姫(蓮佛美沙子)。奥では御子誕生の声がする。就任から5年で11人目。それも家斉が精力絶倫だからとは見えず、母の治済に促された結果に映る。精も根も尽き果てた、というより、尽き果てる前に、摘み取られているのが、「はあ……」と目も虚ろな家斉だ。 幕府の財政ひっ迫に繋がると、老中職に就いた松平定信(安達祐実)は治済に進言するが、「何か勘違いしていません? わたくしは将軍の母、あなたは家斉の臣下」と一蹴する治済に財政のことなど興味はない。口から出るのは「わたくし、大御所になりたいの」とのわがまま。大御所とは、吉宗が将軍職を退きながらも、実質的な権限を握っていたときの尊称だ。 「大御所とは、隠居した“将軍”の呼称です」ときっぱり断った定信だったが、この一件により老中職を罷免されてしまう(※史実の徳川治済も自分が大御所になろうとし、松平定信は老中職を解かれている)。 ところで、家斉と治済が対面する場面が2度描かれたが、そのいずれも治済が上座で座布団に座り、将軍の家斉は直座りだ。いくら実母とはいえ、それこそ大御所ではない。しかしあやつり人形の家斉にとっては、むしろ自然なことなのだろう。

おぼろげだった興味を“口に”したことで明確化した家斉

大奥(C)NHK

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茂姫との褥。自らを「母上のあやつり人形」と言う家斉だったが、茂姫が「何かなさってみたい政はないのですか?」と訊ねたことで、“人痘”への興味を口にする。 「良いではないですか!」と心の底からといった様子で応援されたことで、家斉の瞳に、はじめて力が宿った。最初は「人痘かのぉ」というおぼろげな言葉だったにしろ、“口に”したことで、自分の頭の中にあった興味を明確化できたことは大きい。 しかしそこから「男が政を語るのではないわ!」と泣く子も黙る、いや、恐ろしすぎて大号泣の治済ブチ切れシーンが展開した。ただ生物学的にはメスだけの生物も実際に珍しくなく、逆に人間の男性優位社会を考えさせられるのが皮肉だ。さて、怖~い母親にやられてしまった家斉だったが、茂姫と、さらには側室のお志賀の方(佐津川愛美)も懐妊。敦之助と総姫として育っていく。
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蓮佛美沙子が好演
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