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「耐えて家庭を守る女性」はもういない…近年の熟年離婚の“リアルな理由”に驚き

 こんにちは。コラムニストのおおしまりえです。
熟年夫婦

イメージです(以下、同じ)

 近年、増加傾向にあるとされる「熟年離婚」。熟年離婚とは、一般的に婚姻から20年以上が経過していて、かつ多くの場合は50歳以降の夫婦の離婚を指すようです。  人生100年時代と言われるようになったことで、熟年離婚は「残りの人生を考えた際の一つの選択」という見方が広まりつつあります。しかし実際に熟年離婚を考えた時、生活や金銭面の大きな変化から、行動に移せない人も多いのではないでしょうか。  今回は、熟年離婚の相談を多く受けているカウンセラーの緒方リサコさんに、熟年離婚のリアルな事情を聞きました。緒方さん自身も47歳で子連れ熟年離婚を経験しています。

熟年離婚は、なぜ今増えるのか?

カウンセラーの緒方リサコさん

カウンセラーの緒方リサコさん

 データ上でも、熟年離婚は増加傾向にあるとする専門家がいますが、当事者と向き合う立場である緒方さんから見て、ここ数年の傾向はあるのでしょうか。  緒方さんは意外にも「熟年離婚はそんなに増えていない気もする」と教えてくれました。 「コロナ直前までは、熟年離婚が最近増えたなという印象がありました。しかしコロナ禍を経て、今は熟年離婚を希望する人が少なくなっているのではないかと、私個人は感じます。  とはいえ、それは熟年夫婦の問題が減ったわけではありません。再構築を考えるご夫婦が増えたり、カウンセリングを通さずに離婚を選択した人が増えたりしただけの可能性もあります」(以下、緒方さん)  また、熟年離婚の傾向の変化には、生活や価値観の変化が関係しているとも話します。 「コロナ禍を経て、私達の生活も価値観も大きく変化しました。在宅勤務が広がり、長時間自宅で過ごすのが当たり前になったり、価値観については『卒婚』という言葉が浸透したりして、『自分らしい人生はいくつからでも手に入れて良いんだ』という感覚が広まっています。  こうした流れもあってか、経済的に豊かなご夫婦は、離婚ではなく別居婚となって婚姻関係を継続するケースも多くあります。生活や夫婦のあり方に多様性が生まれたことで、熟年離婚の形も、ここ数年でさらに変化しているのではないでしょうか」

男女の離婚理由、もっとも多いのは…

 価値観の多様化が進み、その結果離婚や別居婚、夫婦再構築を選ぶなど、人生の過ごし方もバリエーションが増えているわけですが、それでもやっぱり「離婚」を選択するには、どういった理由があるのでしょう。  一般的に、熟年離婚といえば、妻側から三行半を突きつけるイメージです。しかし、リアルではそうとも言い切れないとか。 「私が相談を受けている熟年離婚を希望する方の割合としては、まだ女性からの声が多いです。でも、男性からの声も増えています。具体的な理由は、女性の場合『子育ても介護も終わったことで、もう夫と一緒にいる意味がない』といったことが多いですね。長年妻や母という役割をまっとうした方は、年金や夫の退職金を財産分与し、パート等で働けばあと20年くらいの人生設計も問題ない方もいらっしゃいます。  迷惑をかける人もいないしこの先の見通しも立つからこそ、女性から離婚を選択できるわけです」  夫の退職や雇用形態の変化にともない、夫婦のパワーバランスが変わることはよくある話です。しかし、男性側からしたら、長年働いて養ってきた家族に決別を突きつけられるのは、なんとも言えないものがあります。
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妻の態度に耐えきれなくなった夫も
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