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亀梨和也演じる将軍が“怖いけど美しい”。ドラマ開始20分以上も沈黙し続けるワケとは

 2023年の『あなたがしてくれなくても』から『いちばんすきな花』へ。そして2024年は驚きの時代劇へと流れる、フジテレビ木10枠の面白さ。
フジテレビ『大奥』

フジテレビ『大奥』公式サイトより

 毎週木曜日よる10時から放送されている『大奥』には、かなりの勝算と意気込みを感じずにはいられない。劇中、ひときわ異質な亀梨和也……。 「イケメンとドラマ」をこよなく愛するコラムニスト・加賀谷健が、将軍役の亀梨和也がドラマ開始20分以上も沈黙し続ける理由を読み解く。

公家娘のマリッジブルー

 時は江戸時代。9代将軍・徳川家重(高橋克典)の治世だが、民の暮らしは困窮を極め、悪政からの脱却を江戸中が待望していた。そこへ、次期将軍・徳川家治の婚礼がちょうど重なる。  人々が希望を託そうとするその人は、果たしてどれほどの人格者なのか。婚礼の相手である本作の主人公・倫子(小芝風花)は、公家の娘で、幼い頃に京の都から江戸へ連れてこられた。  婚礼を前にしているというのに、彼女は家治のことを「冷たく、蛇のような目」と形容するではないか。そんな言葉がもしお耳にでも入れば……。令和版の大奥らしく、ここは公家娘のマリッジブルーとでもひとまず理解しておこうか。

不穏さを醸成する亀梨和也

 では、実際、家治はどんな人なのか。第1話冒頭、渡り廊下を静かに歩く。倫子との幼少期の回想が適宜挟まるが、一言も発することはない。カメラはやっとその人の顔を捉える。  確かに「冷たく、蛇のような目」だ。ただし、美しい。その美しさは、人の心を持たず、研ぎ澄まされて完成したような雰囲気がある。演じているのが、何とまぁ亀梨和也。  最近の亀梨は結構、サイコパス的なキャラクターも様になる俳優なのだが、本作の家治役はかなり演じこんできている。顔のややアップから引きの画になると、裾が風になびく。この微動ひとつでやたらと不穏さを醸成する亀梨が、画になる。
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研ぎ澄まされた美の勝算
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