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「え、これ本当にあったこと!?」“殺人教師”事件の真相を描く作品に衝撃。43歳俳優の“集大成”

 映画『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』が2025年6月27日より公開されている。
映画『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』

©2007 福田ますみ/新潮社 ©2025「でっちあげ」製作委員会

 おそらく本作には、多くの人が「実話を元にしていることが信じられない」という感想を持つだろう。

「リアリティゼロの下手な小説」とまで言われたが……

 何しろ、原作のルポルタージュ『でっちあげ―福岡「殺人教師」事件の真相―』を執筆した福田ますみ氏は、読者から「よくこんなリアリティゼロの下手な小説を書くな。いくら小説だからって、もう少し現実にありそうなストーリーを考えろよ。えっ、これほんとうにあったこと? マジか!」という感想が寄せられたことを明かしている(プレス資料より)。  今回の映画では、映像作品だからこその「凄惨な光景」が続くため、より良い意味で「あり得ない」気持ちが強まる、あるいは後述する「一方的な怒りと嫌悪」という「バイアス」も知ることになるだろう。  また、見る前の注意点として、「児童への虐待、それに伴う出血の描写がみられる」という理由でのPG12指定(小学生には助言・指導が必要)のレーティングがある。そして、意図的に強いストレスを観客に与えるタイプの作品であると同時に、エンターテインメントとして「のめり込んで見られる」面白さと、「下手なホラーよりもホラー」な恐ろしさがあることも明言しておきたい。  それ以外では予備知識を必要としない、むしろ何も知らずに見てこそ良い意味での衝撃が強まるタイプの内容でもあるため、これ以上情報を入れたくない人は先に劇場へ駆けつけてほしい。それでも、決定的なネタバレにならない範囲で内容を記していこう。

児童への差別発言、暴力、果ては自殺強要までもが描かれる

映画『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』 物語は柴咲コウ演じる「母親の証言」から始まる。綾野剛演じる教師は、家庭訪問に訪れた際に、曾祖父がアメリカ人のため髪に赤みがかかっている児童に対して「穢(けが)れた血が混じっている」といった一方的な言説を展開する。  さらに、教師は児童に教室で「片付けまでの10カウント」を強要し、その10秒以内に片づけられないとランドセルをゴミ箱に捨て、さらに罰として「どの“刑”がいいか」を選ばせた後に頭を殴るなどの体罰を加えた、さらには「死に方、教えてやろうか」と恫喝もしたのだと、母親は主張する。  つまりは、教師は児童への差別発言、暴力、果ては自殺強要までもしたというのだ。主演の綾野剛の「ヘラヘラとした笑顔」に嫌悪感を強く抱く上に、暴力描写に定評のある三池崇史監督の演出も「効いて」いる。いじめという言葉では到底足りない光景の連続に、目を覆いたくなる人もいるだろう。  そして、母親からその主張を聞いた週刊誌の記者は、教師の「実名報道」に踏み切る。日本で初めて教師による児童への虐めが認定された事件として、世論を巻き込んで「550人もの大弁護団」が結成され、教諭側が圧倒的不利な民事訴訟へと発展する。これまで教師の言動を映像として見ていたこの映画の観客にも、それが「当然」と思わせるほどの映像のパワーがあった。
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心優しい教師が底なしの絶望へと追いやられる
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