小国町は山形県の南西部に位置し、新潟県に隣接した県内で2番目に大きなまち。飯豊連峰や朝日連峰を眺めることができるとても自然豊かな地域です。そんな小国町で6月から10月までの期間限定で体験することができる森林セラピーをご紹介します。 　小国町は、町域の94％が森林に覆われています。そのほとんどを占めるのがブナを中心とした広葉樹の森。なかでも温身平（ぬくみだいら）は、そのブナ林を存分に体感できるスポットです。町中心部から南へ車で約40分。集落を抜け、いくつものカーブを抜けた先では、どこを見ても緑に溢れた風景に出会うことができます。 　温身平は飯豊連峰の麓にあり、飯豊山の登山入口にも接しており、全国各地から多くの登山客が集まります。温身平は、ほとんどが緩やかな勾配のセラピーロード。そのため、体力に自信のない方でも手軽にトレッキングを楽しむことができます。 　森林セラピーとは、森林浴の効果に基づいたものです。森に行くと心が安らぐ感覚や、なんとなく落ち着く気がするという経験をしたことがある方もいるのではないでしょうか。このような森林浴の癒しの効果を活かして心身の元気を取り戻そうとするのが森林セラピーです。 　なんと、温身平の森は2006年に全国初の森林セラピー基地に認定されています。しかも、山形県内では唯一の森林セラピー基地でもあります。 　森林セラピーの効果を検証するため、2005年に行われた実証実験では、ストレスホルモンの減少、生理的・心理的なリラックス効果、フィトンチッド（森の香り成分）が豊富であることが明らかになったそう。癒しの効果や病気の予防効果が科学的にも認められている本物のセラピー基地です。 　温身平の楽しみ方は人それぞれですが、森林セラピーアテンダントと呼ばれる豊富な知識を持った案内人と一緒に過ごすのもおすすめ。 　町の観光協会に勤めながら、プライベートで森林セラピーアテンダントとしてガイドを行っている佐野礼子さんにお話を伺いました。 「温身平でガイドをするには、小国町森林セラピーアテンダントミーティングの育成講座を受講して会員になっていただいています。講座では、温身平森林セラピー基地の概要やアテンダントの役割、野外活動の安全管理などを学びます。また、温身平のこと以外にもガイドをする際に必要な小国町の地域文化を知る講座も内容に含まれています」 　現在、会員数は20人ほどで30～80代までの幅広い年代の方が在籍しているとのこと。ガイドの方の中には、地元マタギの方や植物に詳しい方など、個性豊かでさまざまな得意分野を持ち合わせている方もいらっしゃいます。 「仙台や関東方面など都会から来てくださる方が多いです。非日常を味わいたい、日頃の疲れを癒したいという方が多くいます。 　私がガイドをするときは、お客さまのペースでご案内することを心掛けています。お昼寝や、ティータイムをしたりしてゆっくり森を楽しんでいただくことを工夫しているので毎日忙しくしている方にこそ来ていただきたいですね。たまには、森のなかでゆっくりひと息つく時間をつくってみてはいかがでしょうか」 　高校を卒業後上京し、40代で地元小国町にUターンをした佐野さん。目まぐるしい変化の多い東京での生活を経験しているからこそ、非日常的な癒しの空間づくりを意識しているのかもしれません。 　セラピーアテンダントによるガイドは、半日コースと1日コースから選択でき、予約時に希望や目的を伝えるとそれに応じたコースやガイドを紹介してくれるそうです。佐野さんがつくりだすオリジナルのガイドも気になります。 　その他、さまざまなプログラムが用意されています。ストレスチェックでは、心身の健康状態を把握する自律神経測定器での測定、血圧や脈拍などの測定を森林散策前後で行います。結果を比較することで、森林浴の効果をより実感することができる内容です。 　普段、なかなか自分自身に向き合う時間のない方も、心と身体を大切にできる有意義な時間を過ごせるかもしれません。また、温身平周辺では森林ヨガも体験できます。 　森のエネルギーを感じながら行う贅沢なヨガで、体の隅々まで整うことができそう。自身の興味や体力に合わせて自由にプログラムを組んでみるのもよさそうです。 　さらに、5個以上の注文から食べることができるセラピー弁当も。山菜やきのこ、岩魚など、季節ごとに異なる地元の旬の食材を使ったヘルシー弁当です。自然の音を聞きながら一口ずつじっくりと味わうと、より栄養が染みわたるかもしれません。