元風俗嬢の私が、AV女優のキラキラ化に反対のワケ。「短期間で稼げる」の言葉に釣られ、気づけば5年抜け出せなかった
つい先日、SNSを賑わせたある若い女性の「ランウェイを歩く夢のために、この世界に飛び込みます」という投稿。
「ランウェイを歩ける」「すぐに大金が稼げる」「ちょっと働いて、すぐに辞めればいい」。こうしたキラキラとした言葉に惹かれて性産業の扉を叩く若い女性が、近年増加している。
SNSや街頭広告では、キラキラした衣装に身を包んだ顔の整った女性たちが笑顔で存在感をアピール。その姿はまるで、正規のルートを通って自ら掴んだ「夢のステージ」に立つ、女性のロールモデルのように映るだろう。
けれど、立ち止まって考えてほしい。
実際に性産業に足を踏み入れ、体を差し出して対価を得ることは、人生における正当なステップアップと呼べるのだろうか。過去に性産業に身を置いていた私からすると、実態は大きくかけ離れていると感じる。今回は自分の体験をもとに、性産業に簡単に足を踏み込む前に理解してもらいたい「性産業の求人の怖さ」を説明する。
この記事を読めば、「キラキラ」でオブラートに包んでAV女優をランウェイに歩かせる現状に、私がNOと意見し続ける意味を少しは理解していただけると思う。
冒頭の「ランウェイを歩く夢のために、この世界に飛び込みます」
その文字にめまいを覚えた私は、自然と自分が初めて業界に足を踏み入れた日のことを思い出した。私が選んだのはAVではなく、風俗嬢として「体を売る」という道だった。人生で初めて好きでもない男に8人連続で抱かれたその夜、私が抱いた感想は意外なものだった。
「案外平気だし、短時間でこんなに稼げるのか」
おそらく性産業に足を踏み入れた多くの女性が、最初に抱く感覚は似ていると思う。面接に向かうときは「自分はどうなってしまうのだろう」と震えていたのに、実際に行為を終えてみれば、思ったほど大したことがないように思えてしまうのだ。
「あれ?私、おっさんのちんぽを触るのに向いてるのかも」
冗談めかしてそう言った当時の私に、同じ店で働く、両手両足がリストカットの跡に覆われた女の子が静かに答えた。
「おっさんのちんぽを触るのに向いてる子なんて、この世にひとりもいないよ」
知らない誰かに抱かれること。その姿を世界にばらまかれること。自分の体やSEXに、誰もがアクセスでき、好き勝手に物を申せるようになること。そのすべてが「平気」なわけがない。
だけど、業界に足を踏み込むと、その感覚は確実に麻痺していく。防衛反応のように、あるいは気づかないふりをしているのかもしれない。そうして心は鈍麻し、私はいつもぼんやりと心ここにあらずのような状態だった。
結果、「この金額を稼ぐまでに辞めよう」と決めて入ったはずが、気づけば5年以上も業界に浸かっていた。短期間で稼げる快感と、夜の世界独特の価値観。それらに体も心も染められていくと、「普通の世界」に戻ることが難しくなっていったのだ。
キラキラに包まれた「夢のステージ」の裏側
「案外平気だった」から始まる麻痺と依存
その文字にめまいを覚えた私は、自然と自分が初めて業界に足を踏み入れた日のことを思い出した。私が選んだのはAVではなく、風俗嬢として「体を売る」という道だった。人生で初めて好きでもない男に8人連続で抱かれたその夜、私が抱いた感想は意外なものだった。
「案外平気だし、短時間でこんなに稼げるのか」
おそらく性産業に足を踏み入れた多くの女性が、最初に抱く感覚は似ていると思う。面接に向かうときは「自分はどうなってしまうのだろう」と震えていたのに、実際に行為を終えてみれば、思ったほど大したことがないように思えてしまうのだ。
「あれ?私、おっさんのちんぽを触るのに向いてるのかも」
冗談めかしてそう言った当時の私に、同じ店で働く、両手両足がリストカットの跡に覆われた女の子が静かに答えた。
「おっさんのちんぽを触るのに向いてる子なんて、この世にひとりもいないよ」
知らない誰かに抱かれること。その姿を世界にばらまかれること。自分の体やSEXに、誰もがアクセスでき、好き勝手に物を申せるようになること。そのすべてが「平気」なわけがない。
だけど、業界に足を踏み込むと、その感覚は確実に麻痺していく。防衛反応のように、あるいは気づかないふりをしているのかもしれない。そうして心は鈍麻し、私はいつもぼんやりと心ここにあらずのような状態だった。
結果、「この金額を稼ぐまでに辞めよう」と決めて入ったはずが、気づけば5年以上も業界に浸かっていた。短期間で稼げる快感と、夜の世界独特の価値観。それらに体も心も染められていくと、「普通の世界」に戻ることが難しくなっていったのだ。



