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元風俗嬢の私が、AV女優のキラキラ化に反対のワケ。「短期間で稼げる」の言葉に釣られ、気づけば5年抜け出せなかった

「身バレしない」は嘘 顔出しの誘惑と代償

夜の世界の汚さは、求人の仕方にあると私は思っている。今回話題になった「AV」もそうだ。実際、私自身も風俗雑誌での顔出しや、AV出演のオファーを受けたことがあり、スカウトから何度も話を聞かされた。 0911_ランウェイ③当時、夜の仕事をしていることを誰にも明かしていなかった私は「身バレ」を恐れ、パネル写真には濃いモザイクをかけてもらっていた。ところが、その警戒心を解くように、店長やスカウトは毎日のように「交渉」を仕掛けてきた。 ・顔を出したらボーナスが出るよ ・顔を出した方が指名が増える ・フォトショップで加工するから身バレなんてしない ・AVで身バレしたなんて聞いたことがない。名前を出して単体デビューするわけじゃないなら、バレる確率はごくわずかだ 彼らはいつも最後にこう言った。「稼げるうちに稼いで、そのお金で夢を叶えればいい」 しかし、彼らの言葉のほとんどは嘘っぱちだ。いくら加工を重ねても、顔の雰囲気ですぐに身バレする。実際、彼氏や親にバレて、その後消息が分からなくなった女の子を私は何人も知っている。 AVだって同じだ。かつてビデオテープで流通していた時代以上に、今はネットで簡単に拡散する。動画サイトを開けば、ありとあらゆる作品に何百本単位でアクセスできる。私自身も、知り合いが出演している作品を偶然見つけてしまったことがある。 「身バレは必ずする」、これは断言できる。 そして、その代償を抱えながら得られる金額は、実のところたかが知れているのだ。だが、この正直なリスクをきちんと伝えてくれる人はいない。私の場合も全顔モザイクが目出しになり、やがて薄くなり、ついには横顔まで出すことを許してしまった。 結局ある日同級生が突然店にやって来たことで、自分のしていることの危うさにようやく我に返ったが、もしその出来事がなかったら──今ごろ全国に私の裸やパネル写真がばらまかれていたかもしれない。

存在しない店、虚偽の条件…ダミー広告の罠

また、この求人の話をする上で避けて通れないのが「ダミー広告」の存在だ。ダミー広告とは、実際には存在しない店や仕事内容を掲載しておき、別の店に誘導するためのいわば“釣り広告”である。性産業ではこの規制が極端に甘く、私自身も何度も怖い思いをした。 まず、大手求人サイトに載っている「入店祝い金」「日給保証」は、ほぼ嘘だ。仮に本当に支払われるとしても、達成できないような条件を突きつけられるケースがほとんどである。 0911_ランウェイ④さらに「ソフトサービス」を謳い、時給単価を高く見せながら、実際は系列の別店舗に所属させる手口もある。「この金額で稼げるのはアイドル級の子だけ。だから指名が入るように、こっちのお店にも登録してね」そう言って、より単価が低く“ハードなプレイ”をさせる店に回されるのだ。 オナクラやメンエスの求人だと思って行ったら、実はデリヘルだった。パーツモデルの求人だと思って応募したら、AVの面接だった。こうしたケースは「稀」ではなく、「多々」ある。 私自身も「普通の店」だと思って面接に行ったら、そこはSMプレイ専門店だったことがある。押しに弱い子であれば、そのまま流されてしまう可能性は十分にある。 そして求人者は知っている。結局働き終われば、多くの女の子がこう思ってしまうことを。「案外平気だし、短時間でこんなに稼げるのか」と。だからこそ、彼らはリスクを隠し、嘘を重ねて、より深い穴へと落とそうとしてくるのだ。
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性産業に潜むリスクと搾取
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