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朝ドラ『あんぱん』後半部を盛り上げてくれる54歳スター声優の“声”。繊細な役作りが伝わるシーンとは

 朝ドラ『あんぱん』(NHK総合)もそろそろ最終回だよな。いつまた顔を見せてくれるのだろう。と、思っていたところへ、第24週第118回で嬉しいレギュラー出演者が再登場!  今田美桜演じる主人公がお世話になった編集長・東海林明だ。極めて快活な東海林役の津田健次郎が、声の魅力で後半部をどれだけ盛り上げてくれたことか。  男性俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が、本作の津田健次郎を解説する。

津田健次郎の声で盛り上がる後半部

朝ドラ『あんぱん』© NHK

朝ドラ『あんぱん』© NHK

 今田美桜主演の朝ドラ『あんぱん』第14週第66回、主人公・柳井のぶは、終戦の翌年から高知新報の記者として働き始めた。本作のちょうど折り返し地点。後半部の幕開けから、のぶの上司となる東海林明が快活に登場した。演じるのは津田健次郎。 『ゴールデンカムイ』(2018年~)や『呪術廻戦』(2020年~)などに声を吹き込んできたスター声優だ。朝ドラのレギュラー出演者としても声の魅力をふるわせて盛り上げる。特に「にぁ~」という語尾を強調する東海林の土佐弁は癖になる。  第67回では、夕刊を発刊するために新たに編集部を立ち上げる。どこに設置したものかと選んだ先は物置同然の一室だった。入ってすぐ「チュウ」と聞こえる。ネズミの鳴き声すら魅力的な響きに思えてくる。

音と声に対する繊細な役作り

朝ドラ『あんぱん』© NHK のぶと先輩記者・岩清水信司(倉悠貴)が手分けして片付けをするのだが、東海林が発する開始の合図がいい。「とりあえず掃除から始めるか」と東海林が言うと、のぶが元気よく「はい」と答え、それを受けた東海林がさらに「よおぉぉ」と気合いを込める。  たぶん「よお~し」と言ってるのだろうが、東海林節の省略形「よおぉぉ」の方が何だかしっくりくる。それが土佐弁の語尾なのかはよくわからないが、津田健次郎が台詞を音として分解する成分が含まれているようで心地よい。  で、あとはひたすらガハハハと豪快に笑う。音と声に対する繊細な役作りとこの笑い方の案配があまりに自然で目を見張る。第24週第118回の再登場場面ではすっかり老け込んだが、(少しソフトだが)豪快で人懐こい笑い方はまるで変わらない。
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ミニマムな茶室と老齢の存在感
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