歌舞伎好きの元天才子役は『国宝』をどう見たか?「あくまで“東宝が作った歌舞伎が舞台の映画”」
橋田壽賀子脚本の人気長寿ドラマシリーズ『渡る世間は鬼ばかり』(TBS系)で10歳から12年間、“加津ちゃん”こと野々下加津役を演じていた宇野なおみさん(36歳)。かつて“天才子役”と呼ばれた宇野さんは現在、フリーライター、エッセイストとして活動中です。
そんな宇野さんが30代女性として等身大の思い、ちょっとズッコケな日常をお届けるエッセイ連載。今回は「『国宝』フィーバーと歌舞伎」をテーマに綴ります。
【過去記事】⇒連載「話そ、お茶しよっ元気出そ」エッセイ一覧
「『国宝』見た?」
「あれってどういうことだったの?」
2025年、一番聞かれたのはもしかしたらこの言葉かもしれません。
皆様ごきげんよう、2017年より歌舞伎を見ております、宇野なおみです。こんなにも歌舞伎が話題になったことは、この8年間で初めての気がしますね。
2025年ラストの今回、私の中で激アツトピックとなった、「国宝フィーバーと歌舞伎」についてお話したいと思います。
まず私の歌舞伎歴からお話しますと、子役時代や渡鬼出演時代は、歌舞伎に触れたことは実はほぼなかったです。
ところが2017年に成駒屋、中村芝翫丈(「さん」の意味です)の親子4人襲名披露公演を博多座で見たことを皮切りに、歌舞伎に夢中に。多いときは年に30回ぐらい見ていたんじゃないかしら。
さすがに最近はペースが落ちていますが、ふた月に1回くらいかな? 定期的に見に行き、歌舞伎に関する記事なども書いております。もともとライターになったのも歌舞伎に関する記事が書きたいという側面があったからでして。
そんな、「みんな歌舞伎を見てくれ」と常々語る私でしたが、こんなにも歌舞伎に行きたい、行ってみたいと言われる、演目のおすすめを請われることは前例がありません。
そして歌舞伎座も大賑わい! よく歌舞伎俳優さんが口上で述べる「賑々(にぎにぎ)しい」とはこのことです。コロナ禍中も歌舞伎座に行っていた身としては、同じ場所とは到底思えません。
わたくし、一応今年もテレビに出たり、ラジオに出たりはしています。しかして廃業こそしていないものの、自分の中では芝居の世界の「中の人」というよりは、「横の人」としての感覚が強まった2025年。
松竹座や南座に立ったことのあるライターとして、国宝をどう見たのかと言いますと……。
8年間歌舞伎を見てきて、初めてのこと
歌舞伎座通い8年目で受けた国宝ショック
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