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『ばけばけ』トキとヘブンの関係を決定づけた“オープニング曲の一節”とは? 制作統括が明かすラブストーリーの狙い

 松江の没落士族の娘・小泉セツさんとその夫で作家の小泉八雲さん(パトリック・ラフカディオ・ハーン)をモデルにした、連続テレビ小説『ばけばけ』(NHK総合・毎週月~土あさ8時~ほか)。1月からの放送では、松野トキ(髙石あかり)とレフカダ・ヘブン(トミー・バストウ)が結ばれたことにより、松野家は“川の向こう側”を脱した。生活環境の変化に伴い、画面だけではなく、トキたちの表情も明るくなった印象だ。“後半戦”の描き方で意識したことなど、本作の制作統括を務める橋爪國臣氏に話を聞いた。
連続テレビ小説『ばけばけ』

連続テレビ小説『ばけばけ』©︎NHK(以下同じ)

雰囲気が変わった? 松江と熊本、演出で変えた部分は

 1月からは画面がパッと明るくなった雰囲気ではあるが、橋爪氏は「ライティングのテイスト自体は変えていません」という。 「長屋よりも10倍近い広さの家に住むようになったり、それによって窓が大きくなったりなど、居住環境が変わったことで光の入り方・当たり方が変わりました。そのことがトキたちの環境や心境の変化を表すことにもつながっていると思います」  松江編ではスモークを多くたくなど、幻想的な雰囲気が演出されていた。熊本編でも見せ方でのこだわりはあったのか。
橋爪國臣氏

『ばけばけ』制作統括の橋爪國臣氏

「松江では、“ヘブンやトキから見た松江”を意識しました。つまりは、『彼らにとっては良いところだけが見える』みたいな、“古き良き日本”を感じられる空気感にしています。一方、熊本では、2人もそういった幻想からはある程度覚め、日本を現実的に見るようなテイストを意識しました。また、“近代的になった日本”という部分も強調したく、ライティングを少々硬めにしています」  また、後半の大きな変化としてトキたちの衣装に触れ、「長屋生活を送っている時の衣装は、コーンスターチをかけたり、何度も洗ったりなどして埃っぽさが出るようにしました。ただ、長屋生活を脱した後は、そういった加工はしておらず、また1種類だけでなくいろいろな着物を着せ、置かれている環境の変化に合わせました」と語った。

社会の中にいる2人がテーマに

 後半では、野津サワ(円井わん)やなみ(さとうほなみ)など、トキの周辺人物にもスポットライトが当てられている。後半で意識したことについて「前半では、『トキとヘブンが出会い、お互いに理解を深め、夫婦になっていく』という“2人の馴れ初め”を描きました。後半では、“社会の中にいる2人”をテーマに据えています」と話す。 「史実では、セツさんは実際には女中になった時からラシャメンと言われ、石を投げられたりしています。ただ、本作では2人が結ばれた後に、石を投げられる描写を入れました。“仲を深める2人”と“社会から厳しい目を向けられる2人”を同時進行で描くと、“困難を乗り越えて結ばれた2人”のように見られてしまう。そういったことは本意ではない。もっとプラトニックに、『2人の心が惹かれ合ったことで結ばれたんだよ』ということは強調したくて、ドラマ上では同時進行にさせませんでした」
連続テレビ小説『ばけばけ』

連続テレビ小説『ばけばけ』©︎NHK(以下同じ)

 続けて、「偏見や差別が当時あったことはわかってはいましたが、前半では触れずに描きました。ただ、『そういった社会的な要素も1つのテーマとして扱わなければいけない』と考えていたので、2人の想いをしっかり見せたうえで、後半からは『社会がどう2人を受け止めているのか』を描く構造にしています」と補足する。  また、後半から社会に焦点を当てたことに伴い、サワやなみのエピソードも描いていったと語った。
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この物語はラブストーリーなんです
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