阿部慎之助氏「復帰署名12万筆」に感じる違和感。表面的な情報だけで盛り上がるファンの盲点
巨人の阿部慎之助前監督の復帰を求める署名が12万筆を超えました。想定を超える反響から、6月5日が期限だった運動は5月28日をもって終了することが発表されました。
きっかけは、阿部氏の会見です。断腸の思いで監督を辞するという男泣きに多くの同情が集まったからです。
落語家の立川志らく氏は、「ただの親子げんかじゃねえかよ」とコメントし、阿部氏は巨人の監督を辞めるべきではないと訴えました。
またこの署名運動には映画監督の山崎貴氏も賛同したことが話題になりました。阿部氏の長女がChatGPTを通じて児童相談所への通報に至った経緯に触れ、「この事件はAIに惑わされる人類って意味でも、人間の力で元に戻さないといけない奴だと思う」と力説。
こちらも、阿部氏の逮捕と監督辞任が不当であるとのメッセージを発していました。
しかし、AIの誤作動と阿部氏による“暴行”の有無は、別の問題であるはずです。そこを混同しているところに、一抹の不安を覚えます。
ネット上の意見も同様です。“阿部氏は父親として指導しただけではないか”とか、“しつけの一環としての体罰なら昔からある”などの意見に共感する人たちが、「阿部氏の監督辞任は過剰な対応だった」という点で一致しています。
こうした擁護の声が後押しして署名運動が立ち上がったのです。
しかしながら、阿部氏を取り巻く状況は厳しいと言わざるを得ません。読売新聞は社説のスペースをフルに使って、阿部氏の行いは許されざるものであり、スポーツ界から暴力を根絶しなければならないと主張。
巨人軍の山口寿一オーナーも、「辞めてもらったので、いまは何もないですね」と、阿部氏との“絶縁”を宣言していました。
さらに『週刊文春』によると、阿部氏はかねてより家庭内で妻を引きずり回すなどの家庭内暴力を起こしていたといいます。
こうした背景を踏まえると、署名運動で盛り上がる男たちの浅はかさが浮き彫りになります。なぜなら、彼らが根拠としているものは、阿部氏の主張するストーリーだけだからです。長女の早とちりによって不当に職を奪われた寛大な父親を支援しなければ、という拙速な判断からくる感情ですね。
けれども、よく考えて下さい。もしも読売グループならびに巨人軍が、阿部氏の主張と同程度の情報しか持っていなかったとしたら、この実質的には監督解任という極めて重大な決断を下せたでしょうか? 読売新聞の厳しい社説、そして山口オーナーの辛辣な発言からは、表に出てきているもの以上の情報が集まっていると考えるのが自然でしょう。
つまり、公に報じられているものは、阿部氏の尊厳に配慮してかなりオブラートに包まれているというわけです。










