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乳がんを克服した女優・宮崎ますみが、ヒプノセラピスト(催眠療法)になった理由

宮崎ますみ

「まさか自分ががんになるなんて……。スイッチが入ったように心と身体が大きく方向転換しました」と当時を振り返る宮崎ますみさん

 15歳で芸能界デビュー。1985年にはクラリオンガールに選ばれ、その後、女優としてテレビや映画で活躍してきた宮崎ますみさん。抜群のスタイルを披露したヘアヌード写真集は30万部のベストセラーとなり、話題になりました。  プライベートでも、26歳でテレビカメラマンと結婚。二児の母となり、順風満帆な人生を送っていたのですが、当時のことを宮崎さんは「本当の自分を抑圧していることによる慢性的なストレスがあって、それががんを作ってしまった……」と振り返ります。  そして、37歳のときに、乳がんの宣告……。  手術は成功したものの、がん細胞を増殖させる女性ホルモンを抑えるホルモン療法に悩まされ、重度のうつ症状が出ます。そんな苦悩の生活を、自ら克服していった経験から、現在はヒプノセラピスト(催眠療法)として活躍。  心身ともに健康を取り戻した宮崎さんに、医師であり、免疫療法によってがん治療をするテラ社の社長でもあり、ベストセラー『免疫力をあなどるな!』の著者でもある矢崎雄一郎さんが迫りました。

潜在意識の中のストレスに気づく

矢崎:ヒプノセラピストとはどんなお仕事なのでしょう? 宮崎:病気の人であれば、私もそうでしたが、潜在意識の中に、慢性的なストレスのような病の原因が隠れています。そこにセラピストが催眠療法で働きかけ、気づきに導くといったものです。 矢崎:やはりクライアントは、そういった自己矛盾をかかえた方が多いのでしょうか。 宮崎:多いですね。病気でなくても大部分の方はそうなのではないでしょうか。“ほんとうの自分ってなんだろう”って悶々としながら生きてる。ある意味、病気っていうのはそういう自分が変化できるチャンスなんですね。 病気って、私たちを苦しめるものではあるけれど、客観的に見ると大きなメッセージを贈ってくれてるようにも思うんです。私自身、がんになったことで生き方が変わりました。ほんとうの自分になって生きようというふうに、病気が私を変えてくれたんです。 そのおかげで今、根本的なストレスというものはないんですね。ほんとうに好きなこと、興味のあること、命を注げるようなことをやれるようになったので。 仕事をして、家のことをやって、母親業も……となると、やっぱり日々の細かいストレスというのはあります。そういうときは、自分のほんとうの声、ほんとうの気持ちというのを再確認することにしています。 矢崎:ストレスにさらされた状態が続くと免疫力が下がる、そして免疫力が慢性的に下がる状態が続くとがんや病気になりやすくなる、というのは科学的に詳しく解明されつつあります。だからストレスコントロールは重要です。 そして、ストレスの種類が、外的な要因でいやいやストレスを被っているのか、それとも自ら選択したストレスなのか。その違いによって身体の負担というのもずいぶん違ってくるんじゃないかなと思います。

自分の心や身体と対話する

宮崎:がんを宣告される前と後では、ストレスの質が変わりました。そしてなにより、主体性をもって生きられるようになった。自分はどう生きたいのか、どう他人と関わっていきたいのか、いつも自分に問いかけることが大事なんだと思います。 ちょっと面白い話があるんですが、乳がんのホルモン療法をしていたときに、ホットフラッシュ(更年期障害にも見られる症状のひとつ。暑くもないのに急に顔がほてったり、のぼせた状態になったり、大量に発汗したりする。乳がん手術後のホルモン療法でも同様の副作用が見られることがある)になっちゃって。もうそれが本当に不快で、あんまりイライラしたので、あるとき「頭の熱よ、足先に行け!!」って自分の体に命令したんです(笑)。そしたら、ほんとうにものの数分で、足先が熱でじんじんしてきたの。
宮崎まゆみ×矢崎雄一郎

宮崎まゆみさんと矢崎雄一郎氏

矢崎:それはすごい。 宮崎:そのとき私、自分の身体のマスター(主人)は自分のマインド(精神)なんだ、って実感したんです。そういう感覚、すごく大事だなって思うんですよね。 矢崎:宮崎さんとお話していてすごく感じるのは、ご自身の心や身体と対話するのが非常にお上手だな、ということです。それにすごくポジティブ。そこに健康のヒントがある気がします。 宮崎:そうかもしれません。私、がんになって生き方がすごく変わりました。今、ヒプノセラピストとして、いろいろな人の心のケアをお手伝いさせていただいていますが、最初は「もう、生きててもしょうがないし、死んでいいかな」なんて言ってた人が、今では「生きてるのが楽しくてしょうがない」って言ってくれることもあります。誰もがそんなふうに豊かに生きられる力を、もともと自分の中に持ってるんです。でも、その力を忘れてしまっている人が多い。それを復活させることが大事だと思います。 <取材・撮影/http://yuichiroyazaki.jp/> 宮崎ますみ●1968年生まれ。1984年にクラリオンガールに選ばれ、映画・ドラマ・舞台など幅広く活躍。結婚後は芸能活動から退き米国に移住。子どもの就学を機に芸能活動復帰を決意し、2005年に女優活動を再開するも、乳がんが発覚。日本に帰国し、さまざまな乳がん治療を模索・実践し乳がんを克服。現在はヒプノセラピストとしても活躍中。乳がん克服の経験を生かし、女性の健康や出産と子育てなど多岐にわたる分野での講演活動にも積極的に取り組んでいる。 ヒプノウーマンhttp://salon.hypnowoman.jp/ 矢崎雄一郎●1972年生まれ。1996年に東海大学附属病院に外科医として勤めるも、「救えない命もある。そんな医療の限界を変えたい」と職を辞める。 2003年、東京大学医科学研究所細胞プロセッシング寄付研究部門に研究員として勤務した後、2004年にテラ株式会社を設立。樹状細胞ワクチン療法「バクセルR (Vaccell)」をはじめとしたがん免疫細胞治療の研究開発で注目を浴び、バイオベンチャーでは異例となるJASDAQ上場を果たす。yuichiroyazaki.jp「免疫力をあなどるな!」http://yuichiroyazaki.jp/
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