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宇垣美里「掟破りであろうがやったれ!」田舎町で息苦しい毎日をおくる女子高生たちに共感したワケ

 元TBSアナウンサーの宇垣美里さん。大のアニメ好きで知られていますが、映画愛が深い一面も。
宇垣美里さん 撮影/中村和孝

撮影/中村和孝

 そんな宇垣さんが映画『万事快調<オール・グリーンズ>』についての思いを綴ります。 『万事快調 〈オール・グリーンズ〉』●作品あらすじ:ラッパーを夢見る高校生・朴秀美は、未来の見えない地方の町で鬱屈した日々を送っていた。家庭に問題を抱える人気者・矢口美流紅、毒舌な同級生・岩隈真子らと同好会「オール・グリーンズ」を結成し、一攫千金を狙う禁断の課外活動を始める。行き場のない若者たちが、衝動のままに“未来を奪いにいく”青春映画。  それぞれの生きづらさを抱えた女子高生たちが織り成す異色の青春映画を宇垣さんはどのように見たのでしょうか?(以下、宇垣美里さんの寄稿です)

美しくも窮屈だったあの町を抜け出して

万事快調 〈オール・グリーンズ〉

『万事快調<オール・グリーンズ>』より(以下同)

 私は生まれ育った地元が大好きで、今でも時折きらきらと陽光を反射する海面を夢に見るほど愛おしく、それでもずっとずっとそこから出たかった。  穏やかだけど私には息苦しく、美しいけど窮屈だったあの町。だから閉塞感の中、ここではないどこかを夢見てあがく彼女たちの気持ちが、少し分かる。  置かれた場所で咲きなさい? 足るを知りなさい? うるせえばーかばーか! と抗いたくなるその気持ちが。 万事快調 〈オール・グリーンズ〉 ラッパーを夢見ながらも学校にも家庭にも居場所がない朴秀美、クラスの中心でキラキラとした毎日を送っているようで震災をきっかけに変わってしまった母との関係に悩む矢口美流紅、漫画家になる夢を抱えるひねくれものの岩隈真子は、田舎町の底辺工業高校で鬱屈とした日々を過ごしていた。  ある日、トラブルから思いがけずとあるものを手に入れた朴秀美は、美流紅と岩隈に声をかけ、これを元手に一攫千金を狙い、先の読めているつまらない将来から抜け出そうと持ちかける。

限界を忘れて爆走できる”青春の特権”

万事快調 〈オール・グリーンズ〉 未来を奪い取らんとクソな現状に反旗を翻す女子高生たちのエネルギーと勢いが清々しく、掟破りであろうがやったれ! とついつい応援してしまいたくなってしまう。  SF小説好きの朴秀美、映画好きの美流紅、漫画好きの岩隈の3人のおりなすオフビートな会話には実在の小説や映画が数多く登場し、サブカル好きとしては思わずにやり。  まるで電車にのって茨城の端に向かえば彼女たちに出会えるのでは、と思わせる現実と地続きのようなリアリティを感じた。 万事快調 〈オール・グリーンズ〉 ステレオタイプの青春に中指をたてるような、それでいてまぎれもなく青春映画の泥臭さと鋭さが満載な本作。  少女が裏社会に片足を突っ込むことで対面する恐ろしさにぎゅっと胸が締め付けられたけれど、全ての予想を裏切るパンクなラストはあっぱれ。見終わった後はなぜか笑いがこみあげてきて、掻き立てられるままに駆けだしたくなった。  どこまでだって行けるんだ、と限界を忘れて思いのままに爆走するのも青春の特権。あ~あ、若いっていいな。 『万事快調<オール・グリーンズ>』 配給/カルチュア・パブリッシャーズ 全国公開中 ©2026「万事快調」製作委員会 <文/宇垣美里>
宇垣美里
’91年、兵庫県生まれ。同志社大学を卒業後、’14年にTBSに入社しアナウンサーとして活躍。’19年3月に退社した後はオスカープロモーションに所属し、テレビやCM出演のほか、執筆業も行うなど幅広く活躍している。
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