お受験ゲームに勝つ2つの最強塾。東大生を量産する“塾歴”とは?

 今年の受験シーズンも、そろそろ終盤戦。少子化がすすみ、定員割れを起こす私立大学も増える一方で、トップクラスの大学はやはり狭き門。難関大学に合格したければ、塾通いが欠かせない世の中に変わりはないようです。

塾

写真はイメージです

「サピックス」と秘密結社のような「鉄緑会」



 そんな受験大国・日本の頂点に君臨する予備校があるのをご存知でしょうか。それが、中学受験で“ひとり勝ち”状態にあるというサピックス。

 そして、そこから上位校に合格した子供たちだけが通うことを許される鉄緑会。最高偏差値を誇る東大理三(医学部)への合格を目指して作られた、受験エリートの養成機関のようなものです。

SAPIX小学部

SAPIX小学部 のHP https://www.sapientica.com/

 実際、東大合格率ナンバーワンを誇る筑波大学駒場中の合格者数の7割強はサピックス小学部出身者(2015年)で、東大理三合格者の6割以上が鉄緑会出身だといいます。

 それゆえ、教育熱心な親御さんからは、“王道”と呼ばれる必勝ルートなのだそう。

 そんな秘密結社のようなグループの実態を教えてくれる本が、『ルポ塾歴社会』(おおたとしまさ 著)。

 ニュースで、“親の経済格差がそのまま学歴格差につながる”ことが言われる昨今ですが、そんな実も蓋もない現実を突きつけられる一冊です。

塾歴社会

子供への投資とリターンを効率的に



 しかし、著者はそもそもこの格差が生まれた原因が、平等を重んじる日本人特有の感覚にあったのだと見ています。多くの先進国が、教育を“やがて社会に還元される公共財”とみなし、それにかかる費用の自己負担を最小限に抑えているのと対照的なのですね。

<しかし日本では教育が立身出世の手段として広まった経緯がある。そのため、教育を受けたことによる利益は教育を受けた本人のみが享受して当然とする社会通念ができた。教育が「勉強という役務と引き替えに社会的優位を得る商取引」のようになった。

 取引条件に少しでも偏りがあれば「ずるい」と感じる。日本の平等至上主義的教育システムは、この「ずるい」という感覚をベースに成り立ってしまっているのである。>
(第4章 塾歴社会の光と闇)※太字は編集部

 具体的に言えば、親は塾や予備校にかかる費用という投資をする。そこからリターンとして高い偏差値を得た子供が、難関校合格という最終的な利益を、再び親にもたらすサイクル。

 それゆえ、予備校に求められるのは、効率よく正解へとたどり着く方法を無駄なくインプットする適切なサービス。その頂点に位置するのが、サピックスであり鉄緑会なのです。

鉄緑会

鉄緑会 HP http://www.tetsuryokukai.co.jp/

 しかし、この極端なまでの合理性が、その外側にある大きな社会の存在を排除しているのですね。もちろん、多くの学習塾はある日突然生まれたわけではなく、そうした国民性や時勢の求めるところ、自然に出来上がったと見るべきなのでしょう。

 そのシステムの中で、よい学校を出て、高い収入とステータスを得られる仕事をしたいと思う気持ちは誰もが理解できるものでしょう。

「回り道」はムダだと考える世の中



 それでも、そうした「正解」だけを選び続けることなど、長い人生において不可能である。サピックスや鉄緑会を総じて公平な目で見ている著者ですが、「回り道」の必要性を、熱く訴えかけます。

<「合格」という目的に向かってできるだけ効率的にアプローチしたいニーズに応えて存在する塾が、「回り道」を回避しようとするのは当然だ。批判される筋合いはない。

 しかしそのような塾が過度に社会に対する影響力を持っているのだとしたら、それは塾のせいではなく、世の中全体が「回り道」を良しとしない効率至上主義に染まってしまっているためではないか。今私たちの社会に、「回り道」「無駄」「不純物」「遊び」など円環的作用をもたらすものの価値を認める知性・教養・文化が欠けている証拠と言えるのではないだろうか。>
(第4章 塾歴社会の光と闇)※原文では太字は傍点

東京大学

東京大学の赤門

 著者のおおたとしまさ氏は慎重な言い回しを選んでいますが、平たくいえば、“この国は貧乏性になってしまったのではないか”、と嘆いているのです。

 ずば抜けて優秀な頭脳を持った子供が、入試テクニックのマスターに躍起になっている光景は、控えめに言っても寒々しく映ります。

東大に行っても選択肢は増えなかった



 本書で取材に応えている鉄緑会出身者で、現在中央省庁に務める田中祐子さん(仮名)も、こう語っています。

<「自分は勉強をがんばることで、人よりも多くの選択肢を得ていると思っていました。しかし実際には、『東大に行ったからにはあんな仕事はできない』という風潮もあって、どんどん自分の選択肢を狭めていたのです。」>

<「大学に入るまで塾に頼り切る生き方は、もしかしたら私から、何かを深く思考する能力を奪ったのかもしれないと思うことがあります。(中略)そのことに目を向けず、お山の大将になれてしまうシステムなのかもしれません。」>
(いずれも 第1章 サピックス~鉄緑会という王道 より)※太字は編集部

 指導要領の改定や大学入試改革の必要が叫ばれる昨今ですが、問われるべきは、“一体どのような人間でありたいのか”という、答えのない大きなビジョンなのかもしれません。

<TEXT/比嘉静六>

ルポ塾歴社会 日本のエリート教育を牛耳る「鉄緑会」と「サピックス」の正体

開成、筑波大付属駒場、灘、麻布など進学校の中学受験塾として圧倒的なシェアを誇る「サピックス小学部」。そして、その名門校の合格者だけが入塾を許される、秘密結社のような塾「鉄緑会」。なんと東大理IIIの合格者の6割以上が鉄緑会出身だという。本書では、出身者の体験談や元講師の証言を元に、サピックス一人勝ちの理由と、鉄緑会の秘密を徹底的に解剖。学歴社会ならぬ「塾歴社会」がもたらす、その光と闇を詳らかにする。

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