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安倍首相に糸井重里…相次ぐ“コロナ炎上”。イライラの地雷はどこにあるのか

スガシカオ「批判や怒りや疑いじゃなくてさ」。同じパターンで炎上

「フリー・ソウル・スガシカオ」ユニバーサル ミュージック

「フリー・ソウル・スガシカオ」ユニバーサル ミュージック

 糸井重里氏と同じパターンで、ミュージシャンのスガシカオのツイートも炎上しました。  4月7日、「今一番大切なことは、みんなが一人一人どうすべきかを考えて、一致団結してこの危機を乗り越えることだと思うんだ 批判や怒りや疑いじゃなくてさ、不要な外出を控える、自分や家族を守る、他人を思いやる、医療を守る…それしか新型コロナに勝つ方法はない」と投稿。  非の打ち所がない、むしろメッセージとして完璧に見えますが、「批判や怒りや疑いじゃなくてさ」が地雷を踏んだ。  「弱者は批判もせず黙って死ねということ?」「自己責任論の言い換え」「ポジティブっぽい表現で政権への批判を封殺するな」といった批判が殺到したのです。  スガシカオは、その後「言葉足らずでした」と謝罪して投稿を削除しましたが、本人もこの投稿が炎上するとは思ってもいなかったでしょう。悪意はなくとも、「批判じゃなくてさ」の一言で、「弱者は黙っていろというのか」と解釈されてしまう現在なのでした。

為末大氏の「出勤しちゃうんだ」に、「せざるを得ない人々」が反応

為末大「限界の正体 自分の見えない檻から抜け出す法」SBクリエイティブ

為末大「限界の正体 自分の見えない檻から抜け出す法」SBクリエイティブ

 元陸上競技選手で、「侍ハードラー」や「走る哲学者」の異名を持つスポーツコメンテーター・為末大氏も、ひょんな一言が大炎上しました。  4月8日、『日本経済新聞』が報じた“8日朝のJR山手線の乗客者数が35%減に留まった”という報道を受けて「出勤しちゃうんだ」とツイート。  この8文字に対して、SNSでは「誰だって好きで出勤してるわけじゃない」「看護師です」「子供のために働いているが、電車に載った私は犯罪者か?」「デリカシーがなさすぎ」など、やむを得ず出勤しなければならない当事者からも声が挙がりました。  ですが、為末氏のように、「出勤しちゃうんだ」と言いたくなるような人が出勤しているのも、また事実。テレワークに切り替えられる仕事なのに、「顔を合わせないと効率が悪い」とか、「書類にハンコが必要」とか、「上司が来いという」、「家では集中できない」といった理由で、通勤電車に乗っている人もいます(あなたの会社にはいませんか?)。  でも、今の情勢では「通勤せざるをえない人を責めている」とだけ捉えられてしまう。これも、典型的な“炎上パターン”です。

本田圭佑選手の「優先順位」を、逆の意味に取った人たち

 為末大氏が炎上した翌9日、サッカー元日本代表選手の本田圭佑選手のTwitterにも火の粉が降りかかりました。  本田選手は「政府も全員を救うことは出来ない。優先順位の高いもんを政府が助けて、低いもんを国民同士で助けられるかどうか」とツイート。  すると、「上級国民は政府が救うけど、庶民は死ねと?」「優先順位を政府がつけるって優生思想そのものですね」などと批判が殺到。世間の人は、「優先順位が高い人=強者」と、ほとんど反射的に思ったわけです。  ところが12時間後、本田選手は再びツイッターで「当然、優先順位の最上位にくるべきは生活することがままならない人(経済弱者)なわけです」とツイート。つまり、本田選手は逆に、「優先順位が高い人=弱者」のつもりだったと(最初からそのつもりだったか、批判を受けてそう書いたのかは定かではないですが)。  そして、続く文章で、本田選手は糸井重里氏と同じ、「責めるな」系の地雷を踏んでしまいます。 「ただ現実はそこまで政府の対応が行き届くとは思えない。じゃ誰が助けるのか?ずーっと政府に文句を言う?違うでしょう。僕らが1人1人、政府が救えない人を支えられるかでしょう」と本田選手。  これに対して、ツイッター上では「人間に優先順位なんてない」「政府が弱者に対してマスク2枚しかくれないから意見しているんですよ、私達の税金なのになぜ政府に文句を言ってはいけないのですか?」と堂々巡り。 「優先順位」や「政府に文句を言う?違うでしょう」といった言葉は、もとからそういうことを言いがちな人々がいるだけに、“本田選手もそっちのグループだったのか”と失望する人もいたかもしれません。

漫画家・浦沢直樹氏 マスクの安倍首相の似顔絵が賛否両論

 最初に挙げた安倍首相の犬動画とは、たぶん別の層から叩かれたのが、浦沢直樹氏です(安倍首相のアンチも擁護派も、結局は炎上の火種なんですね…)。  4月2日、『YAWARA!』や『20世紀少年』などで知られる漫画家・浦沢直樹氏が、Twitterに「アベノマスク」と題した、安倍首相らしきイラストを投稿してネットを騒然とさせました。  事の経緯は、イラストレーターの江口寿史氏が、「カッコわるい映像」とのコメント共に、安倍首相が布マスク2枚を配布するという記者会見の動画を投稿。これに対して浦沢直樹が「笑」と反応して、小さなマスクを付けて憔悴しきった表情を浮かべている安倍首相の似顔絵をアップしたのです。  すると「心の底からがっかりしました。軽蔑します」「お疲れの総理に対してこれは…。今は茶化している場合ではないです」「切実にマスクを求めている方もいます。無粋です」といった批判コメントがあふれかえり、『20世紀少年』の漫画をビリビリに破いた写真と共に「さよなら浦沢さん」とコメントをつけたツイートまで…。  対して「漫画家が政治を風刺するのは悪いことじゃない」「今までの浦沢作品を読んでいない人たちがギャーギャー言っているだけ」と反論も多数寄せられました。そもそも浦沢直樹氏より先に、「マスク2枚配布」という安倍首相の会見自体が、炎上を通り越して大爆発していたんですけどね。 ==================   新型コロナをめぐる数々のSNSの炎上。みんな不安な気持ちで過ごしている今、目に止まった違和感のある発言に対して、攻撃的になってしまいがちです。本当の“敵”はウイルスですが、人間同士の対立もあぶり出されているかのようです。 <文/満知缶子、女子SPA!編集部> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
満知缶子
ミーハーなライター。主に芸能ネタ、ときどき恋愛エピソードも。
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