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10万円給付を「受け取れない」人々の悲鳴続出。今から打つ手はある?

 新型コロナウィルス感染拡大に伴う経済対策として、国民1人につき10万円の現金給付が決まりました。しかし後日給付方法の詳細が発表されると、あちこちで悲鳴が。DV被害者をはじめ、「世帯主への一括支給だと配偶者に独り占めされてしまい、自分は受け取ることができない」という人たちです。
給付金

写真はイメージです(以下同)

 ネット上には困惑の声があふれ、ツイッターのトレンドに「#世帯分離」という耳慣れない言葉が上がる事態に。「#世帯主ではなく個人に給付して」というハッシュタグも拡散されました。  結論から言うと、この叫びに対し政府は部分的にですが対応を発表しています。一体、何が起こっているのでしょう?

「世帯主しか受け取れない」ことが問題に

 20日に総務省が発表した特別定額給付金(仮称)の給付方法は、「4月27日時点での住民基本台帳に記録されている世帯主が、郵送かオンラインで世帯全員分を一括申請し、受給する」というものでした。政府としては、個人が申請すると自治体の事務作業が膨大になるため、世帯主が一括申請することでスピーディーに給付できると説明しています。  大半の世帯は、これで問題なく給付金を受け取れることでしょう。ですが、DVからの避難や離婚前提などで「住民票を移さず配偶者と別居している」ケースでは、たとえ配偶者と生計を別にしていても、世帯主でないため受給できないことになってしまいます。最悪の場合、給付金はすべて配偶者の懐へ入ってしまうことに。 DV 4月27日までに現在の居住地へ住民票を移して自分が世帯主になれれば良いのですが、それができない人も多いのです。  DV被害者の多くは加害者に居場所を隠しています。異動した住民票を非開示にする支援措置はありますが、その手続きは煩雑。また住所を配偶者に知られて問題ない人が住民票を異動する場合も、転出・転入両方の手続きを行わねばならず、郵送に時間がかかったり、役所窓口に行けなかったりすると、27日までには間に合わない可能性も。  また、「世帯主と同居しているが受給が困難」という人たちもいます。家庭内別居中で世帯主と意思疎通ができない、世帯主のDVやモラハラ、経済DV、ギャンブル依存により給付金が世帯主に召し上げられてしまう……など、数え上げたらキリがありません。

世帯分離って何? 4月27日までに間に合うか

 ネット上では弁護士やDV経験者などが「DVで逃げて住民票を移せていない人は、4月27日までに『世帯分離』して自分も世帯主になれば良い」という情報を発信し、またたく間に拡散されました。 「世帯分離」とは、ひとつの世帯として住民登録している人の一部が、住所の変更をせず新たに別の「世帯」を設けるための届出。手続き自体は複雑ではないものの、婚姻により同一となった世帯を意図的に分けるわけですから相当の覚悟が必要です。配偶者の合意なしに行えば、大きなトラブルにもなりかねません。  夫からのDVで別居中の都村さん(38歳・仮名)も、給付方法の発表を聞いて慌てたひとり。夫と住民票上の住所が同一のままだったため、すぐに世帯分離が頭に浮かんだといいます。 住民票 世帯分離は役所の窓口でしか手続きできないけど、外出自粛の中、子どもを連れて行くのは気が引ける。本当に世帯分離しないと受け取れないの? 27日まであと数日しかない……。  焦る気持ちのまま特別定額給付金(仮称)のコールセンターへ問い合わせると、都村さんにとって意外な答えが返ってきました。 「『世帯主しか受給できないのでは受け取れないから困る』という相談や意見が殺到していて、対応を検討しているところだというのです。『現時点での発表内容から変更される可能性があり、決定次第できるだけ早く発表するのでお待ちください』と言われました」  その電話から何時間も経たないうちに、給付についての続報が出されたのです。

DVから逃げている人が、個人で給付金を受け取るための措置

 追加で発表されたのは、DV被害で住民票を残したまま避難している人への措置でした。4月27日までに住民票を移せなくても、DV被害者であることを証明のうえ所定の手続きをすることで、自分や同居中の子どもの給付金を個別で受給できることになったのです。 母子 以下、特別定額給付金に関するお知らせ(総務省作成)より抜粋して概要をまとめます。 ==============

【配偶者からの暴力を理由に避難している人への支援】

配偶者からの暴力を理由に避難している人は、4月27日以前に住民票を移せなくても、所定の手続きを行うことで以下の措置を受けられる。 ① 世帯主でなくとも、同伴者の分を含めて、特別定額給付金の申請を行い、給付金を受け取ることができる。 ② 手続きを行った方とその同伴者分の特別定額給付金は、世帯主(配偶者など)からの申請があっても支給しない。

【対象となる要件】

次の①~③のいずれかに該当 ①配偶者暴力防止法に基づく保護命令を受けていること ②婦人相談所から「配偶者からの暴力の被害者の保護に関する証明書」や、配偶者暴力対応機関(配偶者暴力相談支援センター、市町村等)の確認書が発行されていること ③令和2年4月28日以降に住民票が今お住まいの市区町村に移され、住民基本台帳の閲覧制限等の「支援措置」の対象となっていること

【申出の手続き】

申出期間:令和2年4月24日から4月30日まで 申出先:今住んでいる市区町村の特別定額給付金担当窓口 申出方法:配偶者からの暴力を理由に避難していることを申し出る「申出書」を提出。申出書は市区町村窓口のほか、婦人相談所や総務省ホームページなどで入手できる。 添付書類:「申出書」には、配偶者からの暴力を理由に避難していることが確認できる書類として下記いずれか。 ・婦人相談所、配偶者暴力相談支援センター等が発行する証明書や市町村が発行するDV被害申出確認書 ・保護命令決定書の謄本又は正本 ※令和2年4月30日を過ぎても、「申出書」の提出は可能。 ==============
特別定額給付金に関するお知らせ(総務省作成)1/2枚目

特別定額給付金に関するお知らせ(総務省作成)1/2枚目

特別定額給付金に関するお知らせ(総務省作成)2/2枚目

特別定額給付金に関するお知らせ(総務省作成)2/2枚目

※以上は記者による一部抜粋です。申出を検討している方は、特別定額給付金に関するお知らせ(総務省作成)および政府発表の最新情報を確認ください。 ※この措置については22日付で各都道府県の窓口に通達されているため、現在住んでいる市区町村に問い合わせることで相談が可能です。
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世帯主と同居中の場合や、DV以外の理由では適用外
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