アルコール消毒液はなくてもいい。せっけん・洗剤でできるコロナ対策
4月末現在も売り切れ続出の、アルコール消毒液。「新型コロナウイルスの感染防止=アルコール」とみんなが思い込んでいるかのように、店頭でもネットでも品切れが続いています。
一方で、厚生労働省の新型コロナ対策啓発ポスターには「せっけんで手を洗えば、アルコール消毒の必要はありません」と明記されています。私たちは、こんなに血眼になってアルコール消毒液を探す必要があるのでしょうか? 手に入らない人はどうしているのでしょうか? 情報を整理してみました。
コロナウイルス(新型コロナや、以前流行ったSARSなど)は、外側が「エンベロープ」と呼ばれる脂質の膜で覆われています。アルコール(エタノール)または界面活性剤(せっけんや家庭用洗剤に含まれる)は、この膜を壊してくれるので、ウイルスが感染力を失うのです。
WHOや厚生労働省が「せっけんでていねいに手を洗おう」と言い続けているのは、「界面活性剤でコロナウイルスの膜が壊れる」とされているから。別に、アルコールがないから仕方なくせっけんでごまかそう、という話じゃないんですね。
【参考記事】⇒新型コロナのおもしろ図解が話題(監修:米国国立衛生研究所・峰宗太郎氏)
さらに、これを裏付ける研究結果が4月17日に発表されました。
家庭用の洗剤は、SARSコロナウイルスの消毒に有効だとわかっていましたが(※1)、新型コロナウイルスでも有効だ、という結果を北里大学の研究チームが発表したのです(※2)。
このチームは、市販の家庭用洗剤など22種類――それも、「かんたんマイペット」「クイックルワイパー」「ワイドハイター」など超身近な洗剤で実験したところ、21品目で新型コロナウイルスの感染力が失われる(不活化する)という結果が出たのです(製品名は、※2のリリース参照)。
なーんだ、アルコール消毒液がなくたって、ドアノブとかは家庭用洗剤で消毒できるじゃん! これは家庭用洗剤に含まれるエタノールや界面活性剤のパワーです。ただ問題は、この実験で有効だった“手指用”は「ビオレu」のハンドソープシリーズと「ハンドスキッシュEX」で、もうとっくに品薄で買いにくい状態が続いているのです…。
もちろん手はせっけんで洗えばいいわけですが、最近では、「手洗いと住居用の消毒を兼用できる、手に優しい洗剤」を探す人も増えているそうです。
例えば、「これ売れてるらしいよ」と知人に聞いて、筆者が使っているレアな洗剤が「ホペイロ・マジックウォーター」なる商品。これはなんと、サッカーのレアルマドリードが展開するフットボールスクール日本校の、オリジナル洗剤です(販売は、現在は同スクールオンラインショップのみ)。
そもそもはボールやシューズの手入れ用ですが、住居用や手洗いもOKで、消毒にも使えることがわかったとか。そんなうまい話があるのか?レアルマドリード・ファンデーション・フットボールスクールに聞いてみました。
「業務用洗剤メーカーが開発した洗剤で、独自の非石油系界面活性剤が入ったアルカリ水です。肌についたり、誤って口から入っても、毒性がほとんどないことが国の機関で証明されていて、アルコールハンドジェルと同じ程度に安全です。子供が使うものなので、徹底的に安全にこだわりました。
また、これは偶然発見したのですが、豚コロナウイルス(※3)で代替試験をしたところ、感染能力(ウイルス力価)が10分で99.999%も減少することがわかったのです。
水道がない場所では、手に4~5プッシュ噴射して手を揉むようにこするだけで、水で洗い流さなくても使えます」(スクール代表・増田稿平氏)
実際にホペイロ・マジックウォーターで手を洗ってみると、表面がツヤっとしてバリアされたような感じになるのが不思議。アルコール消毒でガビガビになった手には嬉しいです。
また、住居用から手洗いまで1本でできるオーガニック洗剤として有名なのが、カリフォルニア発の「マジックソープ」(ドクターブロナー社)。こちらも今、かなり売れているようです。

「せっけんで手洗いすればアルコール消毒はいらない」と厚生労働省
「家庭用の洗剤が有効」という研究結果が出た
手洗いと住居用と1本ですむ洗剤も人気
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