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ハマる人続出中、タイのBLドラマ『2gether』の魅力をファンが全力で語る

ラブコメで見やすいのも人気の理由

 しかも、コミカルなシーンが多いからこそ、とても見やすいのだ。俳優の動きにつけられたかわいい効果音や、動く彫刻のようなSarawatを困らせようとTineが「スナックをたくさん買って来たら胸を揉ませてやる」と言った数秒後に大量のスナック菓子を抱えてさっそうと現れるSarawatなど、思わず吹き出してしまう演出もさすが。
 さらに、提供している企業のジュースやタブレットなどが作中で見事にシンクロして使われ、さながらCMだらけ。これはアニメ『TIGER & BUNNY』の広告利用とすごく良く似ている。タイに行った際には、彼らが飲んでいるジュースを箱買いしたいと願うファンはたくさんいるはずだ。  ちなみに今作は、原作者がタイで人気のバンド“Scrubb”の大ファンであることから生まれた物語だそう。彼らの楽曲がSarawatとTineにしっかりと寄り添い、歌詞と気持ちがリンクすることで、より切なくなり、苦しくなり、さらに嬉しくなる。音楽と恋愛をしっかりと紐づけた、誰もが経験のある一瞬を描いているからこそ、共感度も高いのだろう。

とにかく顔がいい主演の2人!

 とはいえ、今まで、タイのドラマに触れたことがない人は、なかなか手が出しづらいだろう。しかし、まずは見て欲しい。日本人好みにも好まれる癒し系のTineの顔と、美術館からそのまま飛び出してきたかのような顔面を持つSarawatの写真を! 驚くほど登場人物が美男美女で、主演の2人はもちろん、彼らの友人役や先輩たちもみんな揃って顔面偏差値が高いのだ。とにかくひと言、顔がいい。
 しかも、聞くところによると、タイのBLドラマでカップルになり、それがヒットした場合、ジャニーズで言うところの“シンメ”のような括りになり、違う作品でもカップルとしてキャスティングされたりファンミーティングを行うこともあると言う。それもまた面白いところだ。
 これは完全に個人の意見だが、10代の頃から芸能活動を始め、最初の頃はなかなかオーディションに受からなかったという、下積みの長いSarawat役のBrightが、影を感じさせながらも、まっすぐに愛を求める役を演じ、整った環境で育ち、新人ながら今作に抜擢された(とはいえ、この役のために10kgのダイエットを成功させるなどの努力家)Tine役のWinが、誰からも愛され、それを戸惑いながらも大きな器で受け止めるキャラクターを演じているのは、すごくハマリ役だと言えるだろう。  どうしても、役にその素顔は滲み出てしまうもの。だからこそ、本人と、与えられた役が見事にフィットした結果、海を越え、多くの人に愛される作品になったのかもしれない。

気づいたときには「タイBL沼」の中

 過去に『youは何しに日本へ?』にて、ももちこと嗣永桃子のオタクの外国人が、「アイドルは探すものではなく、向こうからやってくるもの」という名言を放ったことは、オタク界隈では伝説の名言として囁かれている。そう、どの沼も自分からハマろうと思ってハマるものではなく、知らぬ間にハマって抜け出せなくなっているものなのだ。  だから、好奇心の末、足を一歩踏み入れたらズブズブと吸い込まれていき、簡単には抜け出すことのできない、“沼”と言われるのだろう。まさに、この「タイBL沼」は、いま、ものすごい速度でわたしたちに迫ってきている。今作のほかにも、名作は多々溢れていて、しかもその多くがYouTubeで見られるのだから、素晴らしい。  もし、少しでも興味を持ってくれたとしたら、ぜひ『2gether』の沼に足を踏み入れてもらいたい。絶対に後悔はしないはずだ。ちなみに、現在物語はクライマックス! 今からでも間に合うので、リアルタイムでその結末を目撃してほしい。 <文/吉田可奈> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
吉田可奈
80年生まれ。CDショップのバイヤーを経て、出版社に入社、その後独立しフリーライターに。音楽雑誌やファッション雑誌などなどで執筆を手がける。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。長男に発達障害、そして知的障害があることがわかる。著書『シングルマザー、家を買う』『うちの子、へん? 発達障害・知的障害の子と生きる』Twitter(@knysd1980
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うちの子、へん? 発達障害・知的障害の子と生きる

離婚して2児を抱えながら奮闘するも、長男に発達障害があると発覚(のちに重度の知的障害と診断)。子どもたちを幸せにするため、全力でもがき続けるシングルマザーが描いた実体験エッセイ&マンガ。発達障害について医師の解説、公的支援リスト、付録には子どもとの対話に使える「準備カード」なども

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