コロナ離婚も結局は長年の積み重ね。52歳女性、子連れで家を出る
新型コロナウイルス感染拡大によって、休校やテレワークが1~3ケ月も続いています。家族が一つ屋根の下にいる時間が長くなり、これまで見えなかったり、見ようとしなかった夫婦の在り方が、コロナによって見えてきているようです。中には別居や離婚を決断した妻もいます。
「コロナ離婚」の危機を迎えている夫婦のケースとアドバイスを、離婚の相談を長年受けてきた「離婚110番」の澁川良幸氏に聞いてみました。(以下は、澁川さんへの相談をもとに再構成した体験談です)
東京都内在住のパート社員・山川由美さん(仮名・52歳)は5年前から、製造業に勤める夫(49歳)との間で喧嘩が絶えなくなったそうです。
「15年前に結婚して、小学校6年生の長男と小学校2年生の長女がいますが、2年ほど前から、互いに離婚の話がよく出るようになりました。夫婦喧嘩を子供に見せたくないと思いながら、気がつくと互いにののしりあってしまうんです」
とうとう昨年の年末に、子供が止めに入ったほどヒートアップしたと言います。
「どちらの実家に先に帰省するかを巡って大喧嘩になったときに、長女が泣き出してしまい、長男が止めに入りました。それで私が折れて、先に夫の実家に帰省することになりました。大みそかから元旦まで、姑に嫌味を言われたりして、疲れました」
喧嘩の原因は、長年の夫婦生活の中で積もり積もったものと嘆く山川さん。
「長女が生まれた頃から、夫は私に暴言を吐くようになりました。4歳の長男と、生まれたばかりの長女の子育てで私は手一杯。それなのに夫は家事や育児も手伝ってくれず、土曜日となると、近くのスナックに入り浸り。『少しは手伝って』とお願いしても、『自分の仕事を全うしろ』と怒鳴るんです。ワンオペ育児の日々を、今でもはっきり覚えています」
5年前に、夫が営業から事務職に異動になってから、ますます喧嘩が絶えなくなったため、山川さんは次第に「このままだと離婚しかない」という、危機感を通り越して諦めに近い感情が湧いてきたと言います。
「子供たちがまだ小さかったから、今は我慢するしかないと思って耐えましたけどね」
暗たんたる思いを抱えていた山川さん。ところが2月の初めに、山川さんの75歳になる実母が転倒して、右足を骨折してしまったのです。
「小規模の運送会社を経営している父が、仕事と母の介護の両立は無理と、私に助けを求めてきました」
夫との不仲のことで悩んでいた山川さんは、これを機に子供たちを連れて実家に戻ろうと考えました。
夫に怒鳴られながら、ワンオペで育児をした日々

夫と離れて実家に帰ろうと考えたが、コロナ禍で道は閉ざされた
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