Entertainment

『有吉の壁』はお笑い6.5世代を救う。内Pチルドレン有吉の優しさ

 当時、有吉さんは猿岩石人気沈静後の低迷期。有吉さんはのちにTwitterで「3人(内村・さまぁ~ず)は命の恩人」と語っていることから、内Pという番組にも相当の恩を感じていることでしょう。 『有吉の壁』では、おなじみの一般人の壁のコーナーのほかに、大喜利やブレイク芸人選手権など、芸人の実力や新たな芸風を発揮できるような企画が数多くあります。  かつて内Pでにわかに注目され、のちの「あだ名命名」で大ブレイクにつながった有吉さん。活きのいい若手だけでなく、芸歴をある程度重ねつつも中堅未満である芸人さんたちにも光を与える場を作っているのは、有吉さんが内村さんたちから受け継がれた優しさなのではないでしょうか。
 加えて有吉さんは、お笑いを世代で括ることについて「勝手に括るなと思う」という発言が自身のラジオであったように、『お笑い第七世代』のフレーズには違和感を持っているようです。芸歴や新鮮さで区別しない、そんな彼の感覚も、この番組の純粋な面白さに現れているのでしょう。

ネタ番組とひな壇バラエティの中間

 ではなぜ、四千頭身やハナコ、ティモンディなど第7世代も多く出演するこの番組で6.5世代芸人が目立っているのでしょうか。それは、この番組がネタ番組とひな壇や企画ものバラエティ番組の中間のような作りであるのが理由のひとつなのかもしれません。  型がありつつも自由度が高いこの番組は、芸歴10年を超え、そこそこバラエティ番組のシステムや自分の立ち位置を理解している6.5世代芸人だからこそ、編集の壁を越えて自分の色やおもしろさを見せつけることができるのでしょう。第七世代に比べ、どこか鬼気迫った一生懸命なところも笑いを誘います。  また、お笑い通でもない一般人視聴者にとって、実力はありながらもさほど個性が知られていない彼らの面白さは新鮮に映るのかもしれませんね。  5月6日放送の『有吉の壁』のブレイク芸人総選挙では、タイムマシーン3号の『鬼ギャルゾンビ』が優勝しました。タイムマシーン3号はオンエアバトルやM-1グランプリなどでネタの面白さは定評ありながらも、今まで大ブレイクには恵まれなかったコンビです。  チョコレートプラネットがこの番組からTT兄弟で人気を得たように彼らもこれからブレイクを果たせるかどうか見ものです。 <文/小政りょう>
小政りょう
映画・テレビの制作会社等に出入りもするライター。趣味は陸上競技観戦
1
2
Cxense Recommend widget
あなたにおすすめ