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箕輪厚介氏のセクハラ報道で噴出。女性ライターが語る“悪質編集者たち”からの被害

 出版業界におけるセクハラ、パワハラ問題が炎上し、議論を呼んでいる。  きっかけは幻冬舎の編集者・箕輪厚介氏による原稿料未払いとセクハラ問題を報じた「文春オンライン」の記事(《絶対変なことしない》《でもキスしたい》幻冬舎・箕輪氏が不倫関係を迫った「エイベックス松浦自伝」出版中止の真相)。
セクハラだってかすり傷

文春オンラインにセクハラ疑惑を報じられた幻冬舎の「言わずと知れた天才編集者」こと箕輪厚介氏の著書『死ぬこと以外かすり傷』(マガジンハウス刊)。今回のセクハラ疑惑報道も箕輪氏にとってはかすり傷なのだろうか

 記事によると、被害を受けたのは元エイベックス社員で現在はフリーランスのライターとして活動しているA子さん。かねてからエイベックスCEO(現在は退任)・松浦勝人氏と親しい間柄だった彼女は、2016年12月頃、箕輪氏からの依頼で松浦氏の自伝を執筆。松浦氏への密着取材を重ね、わずか2か月で10万字にわたる原稿を書き上げたという。  しかし著者である松浦氏の都合により出版は白紙に。出版前に契約書も取り交わされておらず、Aさんにはいまだ原稿料は一銭も支払われていない。  また記事では、箕輪氏からAさんに送られたメッセージも公開されている。そこには「Aちゃんち行きたい。」「絶対変なことしないから!」「キスしたい」「ふれあいたい」などと赤裸々な口説き文句が並べられている。  この記事を受け、ライターや記者、作家など出版界で働く女性から「私も似たような経験がある」という被害報告を訴える声が続出しているのだ。本稿では被害者たちのプライバシーに配慮したうえで、その実例を取り上げていく。

二人きりの飲み会でキスを迫られて……

2人で飲みに

※写真はイメージです(以下同)

「まだ駆け出しのライターの頃、定期的にお仕事をしていたファッション誌の編集者から『二人きりで飲みに行かない?』と誘われました。正直、乗り気ではありませんでしたが、相手はクライアント。むげに断ることもできませんでした」  うつむきながら語るのは、ファッション誌を中心に執筆をしているライターのB子さん。 「その人は普段から陽気で豪快な昭和の男という感じ。シモネタもバンバン言うようなタイプですね。その日も『Bちゃんは、童顔でかわいいね』という話から、『これまで何人と付き合ってきたの?』『セフレはいるの?』など個人的な質問を繰り返し聞いてきました。私もカドが立たないように、『え~、それは内緒ですよ~(笑)』とやんわりと返していたのですが、相手は私が喜んでいると勘違いしたみたいで、酔いが回ってきた頃にはテーブルの下で手を握られていました」  上機嫌で杯を重ねる編集者を前に、B子さんは「少しでも早く帰ろう」ということばかり考えていたという。 「決定打になったのは帰り道です。駅まで向かっていたとき、いきなりキスを迫られました。さすがに『やめてください』とその場で断ったら、『冗談だよ~』と言った後に『それにしても、つまらない女だな!』と吐き捨てられ、その日は解散。しかも次の日には『いや~、昨日はB子さんが酔っ払って脱いで大変だったんだよ』というウソを編集部の社員に吹聴していました」  さらに男性からは、「これまで君に発注していた仕事は、制作の都合で取りやめになった」などと言われ、同社からの執筆オファーは途絶えてしまったという。 「当時は、その編集部からのお仕事が主な収入源だったので、かなりこたえましたね。恥ずかしい話ですが、一時は親にも家賃を借りるほど困窮しました。『二人きりで飲みに行った私が悪い』と思っていたので周囲のライター仲間には相談することもできませんでした。目減りしていく預金通帳を前に『あのときキスぐらいしておけば……』と自分を責めましたね」  もちろんB子さんが後悔をする必要などはないのだが、相手に経済的な生殺与奪の権利を握られているせいで自分を責めてしまうというのは何ともやりきれない話だ。
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元上司が女友達に粘着メール
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