箕輪厚介氏のセクハラ報道で噴出。女性ライターが語る“悪質編集者たち”からの被害
元上司が女友達に「新規連載の相談」。友人関係にもヒビが……
書き手は下請け、出版されるまで原稿料が入らない
フリーランスのライターにとって、版元の社員である編集者は仕事の発注元だ。いわば「下請け」となっているライターにとって、発注元からのセクハラに真正面から断ることが容易ではない。たとえ断ったとしても、のちのちの仕事に支障をきたすことを恐れ、泣き寝入りすることも多い。
さらに通常、原稿料は出版されてから、ウェブメディアなら配信された後に支払われる。松浦氏の自伝のようになんらかの事情で出版計画が頓挫したり、配信されなかったら、それまでの労働対価が支払われない可能性は大いにある。いわば、原稿料は人質に取られている状態だ(当然、この原稿も例外ではない。発注の段階で期日や原稿料は明示されているが、女子SPA!さんとの信頼関係の上で書き進めている)。
残念ながら現在の出版業界では、書き手が作業に取り掛かる前に契約書を結んだり、前金が支払われることは少数だ。特に校了を待たずして次号の企画出しや取材を進める週刊誌のような現場では、その都度厳密な契約書を締結するのは現実的ではないとも言える。
しかしフリーの書き手にとっては自分が何十時間も費やした労働の対価が支払われるか、はたして無事に出版されるか、それらは発注元である編集者のさじ加減ひとつで決まってしまう。また支払いが期日通りに入金されるかの保証もない。厳しい言い方だが、口約束と信頼ベースで成り立っている出版業界のビジネスモデルが、セクハラやパワハラが起きやすい構造になっている、といっても過言ではない。
また、被害を訴えた者に対して「それまで仕事を振ってもらって、おいしい思いをしたんでしょ」「二人きりで飲みに行くなんて、隙があったのでは」などという発言は出版界に限らず、被害者を追い詰めていくセカンドレイプになりかねない。
これまでも再三、被害者たちが声を上げてきたセクハラ、パワハラ問題。それらを報じ続けてきた出版業界自体にも、健全化が求められている。
<取材・文/アケミン>アケミン
週刊SPA!をはじめエンタメからビジネスまで執筆。Twitter :@AkeMin_desu
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