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ヒット中の映画「若草物語」が“朝ドラっぽい”と言われる深いわけ

年齢とともに姉妹の関係が変わっていく

 さらに、『スカーレット』などに見る近年の朝ドラと『ストーリー・オブ・マイライフ』の共通点として興味深いのは、四姉妹のキャラの違いだけでなく、年齢を重ねたことによって、関係性が変わっていること。 ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語 3 姉妹というのは面白いもので、三人以上いる場合は特に幼い頃から、好き嫌いではなく「なんとなくウマが合うほう・合わないほう」があるものです。『若草物語』の原作では、ざっくり分けると次女と三女、長女と四女がそれぞれにウマが合って、次女と四女はよく衝突している印象がありました。『ストーリー・オブ・マイライフ』でも、少女時代のシーンでは次女と四女がよく衝突していましたが、大人になってからは大きく関係性が変わっています。  四女・エイミーは、原作と同じく、少女時代にはワガママで自己主張が激しく、ときに次女への嫉妬心から悪魔のように見えるときもありましたが、大人になってからは、様々な葛藤と強い信念を持つ魅力的な女性に描かれています。  特に「夢を追い求めるだけでは生きていけない」ことを悟り、経済を考えて、自分の生き方を選択するエイミー。それでいて、小説家として生きようとする姉の自伝的作品――センセーショナルな内容ではなく、ごく普通の人々の暮らしを描いた小説の価値や意義を理解し、背中を押すのも、エイミーでした。 『スカーレット』でも、度々衝突してきた長女・喜美子と次女・直子が大人になって良き理解者になっています。

女性はどう生きたっていい

 現実の姉妹の関係も同じで、幼い頃の「なんとなくウマが合う・合わない」感覚は、お互いに大人になり、対等な関係になると、変わってくることはよくあります。  仕事をすることによって、一社会人として話ができるようになったり、家庭を持って、妻・母としての共通の話題ができたり、あるいは経済観念や生活エリアの近さによって、あるいは老いた親とのかかわり方によって、かつてウマが合った者同士の距離が遠くなったり、逆に衝突してばかりだった者同士が親しくなったり。  姉妹のキャラの違い、生き方の違いだけでなく、年齢を重ねることによる関係性の変化の面白さを描いているのもまた、『ストーリー・オブ・マイライフ』と近年の朝ドラの共通点だと思うのです。 <文/田幸和歌子>
田幸和歌子
ライター。特にドラマに詳しく、著書に『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』『Hey!Say!JUMP 9つのトビラが開くとき』など。Twitter:@takowakatendon
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