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小池百合子都知事、おしゃれマスクも圧勝の一因?毎日コーデのアピール戦術

見た目は、人の心を左右する

 これぞ小池百合子、得意のイメージ戦法。5月29日に発売されて以降、出版部数が20万部を越えている、すこぶる刺激的な評伝『女帝・小池百合子』(石井妙子著 文藝春秋)で筆者はこう評していた。「何を言うかではなく、何を着るか、どんな髪型にするか。それが人の心を左右するという考えは母の教えであり、テレビ界で竹村健一から学んだことだった」(171ページ)。  折にふれ話題になるカイロ大学主席卒業の真偽問題を関係者に徹底取材したことが話題の『女帝・小池百合子』だが、それを軸にして、常にキャッチーでインパクトのある言動によって周囲の気を引いていく小池百合子戦法を多く例を挙げて紹介している。
石井妙子『女帝 小池百合子』文藝春秋

石井妙子『女帝 小池百合子』文藝春秋

 TVキャスターから政治の世界に転身し、1992年に議員となった小池百合子。“ミニスカート”というイメージ戦略も注目された翌93年、土井たか子との戦いになった際には、片足にギプスをつけて選挙活動をはじめたという(184ページ)。石井妙子はそれによって「ミニスカートから伸びる脚が、ますます注目された」と書く。  それを読んで私が感じたのは、脚の美しさだけでなくその脚を怪我しているのに頑張っている健気さみたいなものが加わったことで、地に足のついた活動をする土井とミニスカの美で勝負する不利な点がわずかばかりでも埋まったかもしれないということだった。

「私、口紅忘れてる?」

 結局このときは土井に敗れるのだが、今回のマスクはこの時代のミニスカとギプスのハイブリッド以上の効果があったに違いない。男女関係なくマスクが国民の必須アイテムになっているなかで、最もマスク生活を前向きに楽しんでいるように感じさせたことは大きい。少なくともマスク不足やマスクの不快感などの負の要素が、小池百合子からは感じられなかった。  さらに、毎日マスクの日々のあるあるネタまで提供したのである。5月29日の定例会見で、「私、口紅忘れてる?」とふいにはにかむような表情をしてニュースになったことは記憶に新しい。6月5日は「今日はちゃんと口紅してまいりました」と以前の失敗を笑いに転化した。  コロナ禍でマスク着用しているため口紅をしなくなっている。化粧品の売上も下がっているらしいという日常を語ることで、難しい政策を語るよりもつい彼女のコトバに耳を傾けてしまうことは確か。とりわけ女性たちは共感したことであろう。実際、選挙当日の出口調査で、女性の支持は男性の50%以上に比べて60%以上であった(7月5日、20時時点)。
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キャッチーな小道具としてのマスク
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