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朝ドラ『エール』休止で、1話から再放送。イケメン3人の“だらだら感”が見もの

 朝ドラこと連続テレビ小説「エール」(NHK総合)がコロナ禍によって制作が中断したため、ほぼ折り返し地点(13週)で放送休止に。6月29日(月)から改めて第1話から順に再放送されるという。
(画像:連続テレビ小説「エール」オリジナル・サウンドトラック プレスリリースより)

(画像:連続テレビ小説「エール」オリジナル・サウンドトラック プレスリリースより)

 なんですかそのリフレイン戦法は。  大河ドラマ「麒麟がくる」は制作中断による放送休止期間は「麒麟がくるまでお待ちください 戦国大河ドラマ名場面スペシャル」として過去の名作の名場面を紹介する特別編という手間をかけている一方で、朝ドラはなぜまんま再放送なのか。  それでなくてもBSでの放送、本放送、昼の再放送、夜の再放送と年がら年じゅう再放送しているにもかかわらず、さらにまた繰り返すとは。  いまだからこそ、沢口靖子の「澪つくし」や、唐沢寿明と山口智子の結婚のきっかけになった「純ちゃんの応援歌」、内野聖陽がかっこいい「ふたりっ子」などによる朝ドラ名場面スペシャルをやってほしかった。
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 もちろんコロナ禍で撮影が大変で、別の番組を作っているどころではないだろう。だが民放が再放送をそのまませずに特別編として手間をかける理由は、スポンサーへの配慮であるという。そう思うと、受信料を払っている我々にそのまま3ヶ月前に見たばかりのドラマをまた流すのはどういうことなんだろう。 ……と一応、お約束的にぼやいておく(こういう小姑チェックを戦争時期のドラマの多い朝ドラに合わせて“国防婦人会トーク”と私は呼んでいる)。  と、書いたところで、出演俳優による副音声がつくことが6月24日に発表された。山崎育三郎、松井玲奈、森山直太朗が順に副音声に登場する。当事者たちがどんな解説を入れてくれるか楽しみでもあるし、ベターな策であろう。

子役時代をまた見られるのは嬉しい

 再放送によって「エール」にいっそう愛着をもたせたいという狙いもわかる。何度も見てると愛着が沸いてしまうのが人間の性(さが)である。  もっとも、「エール」の前半の主人公・裕一(窪田正孝)の子供時代は、子役の石田星空の可愛さが大好評であったので、また彼を見ることができるのは悪くない。あわせて、12週の特別編で再登場し13週でも活躍した、久志(山崎育三郎)の子供時代(山口太幹)や、その後、見る機会のない鉄男(中村蒼)の凛々しい子供時代(込江大牙)を再び見ることができることもうれしい。
 内向的だけど音楽にだけはひたむきな裕一、ガキ大将だけどじつは詩を愛する繊細な鉄男、そして、突然現れては大人びたことを言って突然消えてしまう謎めいた議員の息子・久志と子供時代の彼はキャッチーなキャラ付けがされていた。  彼らが大人になると、作曲家・裕一、作詞家・鉄男、歌手・久志の「福島三羽ガラス」として活躍するという前情報だったので、ブロマンス風味もまぶした青春音楽ドラマになることを期待して、そんな記事も以前書いたことがある。
 ところが、ドラマが進むと、裕一と妻・音(二階堂ふみ)の夫婦の二人三脚ものの色が濃く(朝ドラですから)、大人になった久志も鉄男もなかなか出てこない。やっと出てきたと思ったら、裕一だけそこそこ作曲家として売れるが、鉄男も久志もくすぶったままに折り返し地点を迎えてしまった。  成人した3人は3人で、窪田正孝、中村蒼、山崎育三郎と、とても魅力的な俳優が演じているのだが、子役たちの演技はもっと聡明だった。もちろん、人間は大人になっていくといろんな経験をして陰影がついていくもの。大人の俳優たちの演技の深みのせいで人間の陰影が現れ過ぎてしまっている。
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「福島三羽ガラス」を早く羽ばたかせて!
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