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人気韓国ドラマ「梨泰院クラス」ドロドロの復讐劇の中のキュンキュンとは?

 先日、韓国のゴールデン・グローブ賞とも称される総合芸術賞である百想芸術大賞(第56回)で、Netflixドラマ「梨泰院クラス」に出演しているキム・ダミが新人演技賞を受賞した。
 彼女が演じたのは、IQ162の天才にしてソシオパスで、主人公パク・セロイ(パク・ソジュン)を愛するチョ・イソ役。 「梨泰院クラス」の冒頭に出てきて最後まで大活躍だったチョ・イソ。なんの情報も入れずドラマを見たら、彼女が主役のメンヘラストーリーかとかと思うかもしれないが、その後、ドラマは主人公・パク・セロイの高校時代のターンに。

復讐を胸にのし上がっていく主人公の物語

「梨泰院クラス」は同じNetflixドラマ「愛の不時着」と並んで人気を誇り、長らく総合ランキングのトップ10に入り続けている。  主人公パク・セロイが高校時代、不幸な事件に見舞われ刑務所に入り、出所後、多様な文化が入り混じった自由な街・梨泰院で居酒屋・タンバム(甘い夜という意味)を開店、飲食業界でのし上がっていく物語。  主人公の復讐のモチベーションは過去の不幸な事件。絶望のどん底に突き落とした人物への復讐を胸に黙々と生き続けるパク・セロイ。15年にも渡る長い時間をかけて、ビジネスで成功を獲得しながら、復讐する機会を虎視眈々と伺っている。成功というギラギラと復讐のドロドロが入り混じって、とても濃密。  さらにそこにパク・セロイを愛するチョ・イソと、パク・セロイの初恋の女性オ・スア(クォン・ナラ)の激しい愛も絡み合う。孤独だったパク・セロイの心を癒やすのはチョ・イソか、オ・スアか。
 また、パク・セロイと共にビジネスを拡大していこうと集まってくる仲間たちの群像劇でもあって、いろいろな海鮮がたっぷり入った熱々のスンドゥブチゲみたい。

「梨泰院クラス」と「愛の不時着」は全然違うのに両方にハマっている人が多い

 興味深いのは、「梨泰院クラス」と「愛の不時着」はニコイチのように、どちらにもハマっている人が多いこと。「韓国ドラマ」というジャンルでくくってしまえばそれまでだが、2作はテイストが全然違うのである。簡単に言えば、「愛の不時着」は「ロミオとジュリエット」で、「梨泰院クラス」は「巌窟王」や「ああ無情」のようなもの。  世界的におなじみの普遍的な物語であることが人気の秘密のひとつとはいえ、「愛の不時着」を見てから「梨泰院クラス」を見るとエピソード1で脱落しそうになる。そうならない世間のドラマファンの嗅覚と忍耐力はすごい。

エピソード1、2で脱落してはダメ

「梨泰院クラス」エピソード1、2は、主人公の運命のはじまりが書かれるエピソード0といってもいいような内容だが、1、2で脱落しかかりそうな人に言いたい。そこで止めてはだめ。そこを抜けると「愛の不時着」的なキュンキュン、キラキラする満足感も得られるうえ、仲間と共に成功を夢見る爽やかな群像劇も楽しめるのだから。
 なぜ脱落しそうになるかというと、まだ高校生のパク・セロイが被(こうむ)る体験があまりにもヘヴィーなのである。  韓国ドラマはキラキラだけではなく、人間の業をぐいぐいえぐっていく壮絶な韓国映画もたくさんあって、「梨泰院クラス」はそっち系の感じなのである。それはそれで私は好きだが(『オールド・ボーイ』とか『殺人の追憶』とか)、仲間と一緒に飲食店を大きくしていく話と思って見始めたので、え? 重めの路線なの?と怯(ひる)んだ。  韓国と北朝鮮のシリアスな問題をラブコメにして見やすくしていた「愛の不時着」とは違い、“復讐”多めだった。  それはそれでさすがの描写なのだが、重いドラマを1時間×16本見るのはちょっと……という躊躇から救ってくれるのがチョ・イソなのである。
 頭が良すぎて生意気な彼女が、出所して梨泰院で居酒屋・タンバムを開店したばかりのパク・セロイと出会い、実直な彼に魅力を感じ、ある意味、彼をプロデュースしつつ、自分もまた影響を受けて変わっていく。  彼女が恋してどんどん変わっていくところが微笑ましい。前述した強力なライバル、オ・スアとのバランスもいい。
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「梨泰院クラス」の求心力はパク・セロイの魅力に尽きる?!
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