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人気韓国ドラマ「梨泰院クラス」ドロドロの復讐劇の中のキュンキュンとは?

「梨泰院クラス」の求心力はパク・セロイの魅力に尽きるのかもしれない

 身も蓋(ふた)もないが、「梨泰院クラス」の求心力は、チョ・イソとオ・スアから熱視線を送られるパク・セロイの魅力に尽きるのかもしれない。  15年間ずっと前髪パッツンを通し、困ったときはその大きな掌で頭をなでる姿が心をくすぐり、大きな手で自分の頭じゃなくて、女子の頭をなでてほしい~という妄想が高まる。  真っ直ぐ長い首、ハイカットの靴が似合う長い足首で凛と立ち、信念を曲げず、不正に徹底的に抗い、仲間を大事にする。こうでありたい好人物である。 「愛の不時着」との共通点といえば、主人公の男性(イケメン)が実直で不器用で、浮気したりしなそうなこと。女性が彼を育てる喜びもあるし、女性が学ぶべきところもあること。

主人公のもとに集まる人物も敵側もいいキャラ揃い

 理想の男・パク・セロイのもとには、チョ・イソ以外も集まってくる。  パク・セロイと刑務所でいっしょだった元ヤクザのチェ・スングォン(リュ・ギョンス)、トランスジェンダーの調理人、マ・ヒョニ(イ・ジュヨン)、ギニア人と韓国人のハーフ・キム・トニー(クリス・ライアン)。
 とりわけ、江口洋介の背を低くして三枚目にしたようなチェ・スングォンが最初はパク・セロイに反発していたが、回を追うごとにいい感じになっていく。
「良心で得られるものなど何もない」としれっと言う巨大飲食店チャンガを経営する会長チャン・デヒ(ユ・ジェミョン)、その息子で、つぶやきシローをイジワルな美形にしたようなチャン・グニョン(アン・ボヒョン)、次男であり、チョ・イソに片思いするチャン・グンス(キム・ドンヒ)と敵側もいいキャラぞろい。
 登場人物、全員にしっかり見せ場があって、群像劇好きにはたまらない。  あるエピソードで「かっこつけた中学生みたい」という台詞が出てくるのだが、パク・セロイを中心に繰り広げられる成功と復讐と愛の世界はちょっとガキくさくて、それが青くて苦くて痛いけど、なんだか愛おしい。  ネタバレになるが、後半戦がまた重い。でも見続けてくると、その重さすら愛おしくなる。辛いスンドゥブチゲを辛い辛いと言いながら完食してしまう感じなのである。 <文/木俣冬> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
木俣冬
フリーライター。ドラマ、映画、演劇などエンタメ作品に関するルポルタージュ、インタビュー、レビューなどを執筆。ノベライズも手がける。『ネットと朝ドラ』『みんなの朝ドラ』など著書多数、蜷川幸雄『身体的物語論』の企画構成など。Twitter:@kamitonami
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