朝ドラ『エール』休止で、1話から再放送。イケメン3人の“だらだら感”が見もの
「福島三羽ガラス」を早く羽ばたかせて!
濃い俳優をふたりも出して来たことが画期的
楽しいドラマという点では、13週は、三羽ガラスの話に加え、プリンス久志とスター御手洗(古川雄大)のミュージカル俳優対決もあった。御手洗も「ミュージックティ(―チャー)」として「エール」の前半を盛り上げた人気キャラ。今回の再放送でまた彼の魅力を堪能できるだろうか。どこまで再放送が続くのかまだわからないのだが、御手洗パートは楽しいのでリピート歓迎である。 古川は東宝ミュージカル「モーツァルト!」のタイトルロールを、プリンス久志こと山崎とダブルキャストで演じたこともあり、事務所も同じ(ついでに言えば、裕一の父・唐沢寿明も同じ事務所)。ドラマに舞台畑の濃い演技をする俳優がひとり出てきて、やや浮き気味に演じて盛り上げるという趣向は以前からあるが、「エール」では濃い俳優をふたりも出して来たことが画期的。 ミュージカルのダブルキャストのように互いに個性を放ち合う面白さ(ダブルキャストは共演しないが)。東宝ミュージカル俳優がこんなふうに集結するのは古関裕而が東宝ミュージカルの曲を作っていて、そのつながりがあるのかなあという気もしないでない。 「エール」の放送が再開されたのちには、戦争がはじまって裕一は軍歌を作ることになるはず。そうすると、登場人物ものんびりもしていられないだろう。 そこをどう描くか気になるが、代表作「オリンピックマーチ」をつくる前に、裕一が東宝のミュージカルや演劇の音楽をつくるエピソードをやって、山崎育三郎ほかミュージカル俳優たちをぜひとも生かしてほしいと期待している。ミュージカルのプリンスの最高峰・井上芳雄に出てほしい。 連続テレビ小説「エール」 月~土 8:00(NHK総合)ほか <文/木俣冬> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
木俣冬
フリーライター。ドラマ、映画、演劇などエンタメ作品に関するルポルタージュ、インタビュー、レビューなどを執筆。ノベライズも手がける。『ネットと朝ドラ』『みんなの朝ドラ』など著書多数、蜷川幸雄『身体的物語論』の企画構成など。Twitter:@kamitonami
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