「人と話すことが苦手…」人気俳優・金子大地が今、芝居よりも磨きたいこと
映画化もされた『おっさんずラブ』や『腐女子、うっかりゲイに告る。』など、話題作への出演が途切れない若手人気俳優・金子大地さんが、青春映画『君が世界のはじまり』に出演しました。7月31日(金)よりテアトル新宿ほか、全国にて公開されます。
本作は、監督のふくだももこさんによる2本の短編小説『えん』と『ブルーハーツを聴いた夜、君とキスしてさようなら』を再構築したもので、脚本を向井康介さんが担当。主人公・えんを、ふくだ監督と『おいしい家族』に続くタッグとなった松本穂香さんが務めています。
金子さんは、その本作にえんと同じ高校に通う同級生・伊尾役で出演。父親の再婚相手が暮らす大阪に東京から引っ越しをして、義理の母親と関係を持ってしまうという複雑な役柄で、一見すると自身とは遠いキャラクターではあるものの、どこか演じやすい部分もあったそうです。
その金子さんに、作品のこと、現在の仕事のこと、そして今後の展望などを聞いてみました。
――ビジュアルでなんとなく予想はしていましたが、映画を観終わった後の最初の感想は「怖い」でした。
金子大地(以下、金子):人を殺した人がいて、それが誰なのかわからないという描写もありますが、出てくる人たち全員がいろいろなものを抱えているんですよね。そういう意味では青春映画ではありますが、いろいろなキャラクターたちの重いものがミックスしている感じはありますね。
――伊尾を演じるにあたって、監督はどういうリクエストを?
金子:リハーサルや本読みをしっかりしましたが、本番では僕がやりたいように演じさせていただくことが出来ました。いくつか演技の方向性でリクエストはいただきましたが、基本的には僕が感じたままに演じていました。
――金子さんの想いが乗っているということは、みなさんも同じように、全員で作っているような現場だったのですか?
金子:それはありましたね。主人公はえん(松本穂香)ですが、みんなが主人公のような感じがして、それがすごくいいなと思っています。
――伊尾はどういう想いで演じていたのでしょうか?なんとなく愛おしい存在に見えたので、観る人にそう思ってほしかったのかなと。
金子:僕、彼のことが大好きになったんですよね。彼ほど高校生活を正直に生きていなかったので。スカしているように見えて、俺はこうなんだ、というような自分をしっかりと持っている人。これってすごく正直で、自分の信念のようなものがあるということだと思うので、すごく好きな役柄でした。
――彼のように過ごしたかったみたいな想いも?
金子:そういうことではないのですが(笑)、それだけ大きな悩みごとが学生時代にはなかったんですよね。でも上京したときの経験など、伊尾とリンクする部分がいくつかあったので、そういった意味では演じやすかったのかなと思います。
――映画を観た人の中では、過去の自分と向き合うことでわだかまりがなくなったり、そういう作用が起こる人もいるかもしれないですよね。
金子:そうですね。みなさん大なり小なり、何かを抱えて生きていると思うんです。学生時代に抱えていることも人それぞれだと思いますが、この作品の中では人を殺してしまうような事件も起きたり。でもザ・ブルーハーツの曲「人にやさしく」が流れたり、小室ぺい君演じるナリヒラが頑張れと歌いながら言っているシーンを観ていると「辛くても生きていればなんとかなるんだ」というような想いが込められていると感じました。それを映画が語りかけてくれるような気がします。
――音楽に救われたようなことは?
金子:とてもあります。考える時間が多いと悩みごとも出てくるので、音楽や映画に助けを求めることがよくあります。それこそコロナによる自粛期間中は撮影も止まってしまい、映画を観たり音楽を聴いて過ごしていたので「もしこれがなくなってしまったら」と、恐ろしくもなりました。改めて映画・音楽、ライブは素晴らしいと思いました。
みんなが主人公のような作品
自粛期間は音楽や映画に救われた
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