「ララ♪の心には虐待の傷がまだ残っているように感じます。虐待を受けた人はつかまると観念し、無抵抗になってしまうと聞きましたが、ララ♪も同じ。つかまると自分を隠し、心を閉ざして、解放されるまでただ耐えるという感じで……」
動物病院へ行くとまな板の鯉のような状態になってしまい、爪切りや目薬などのお世話をしようとすると大人しくなってしまう虐待の後遺症は、一般的に見れば「可哀想」に見えてしまうもの。しかし、あささんは「お手入れがしやすい」と、あえて前向きにとらえることで心の傷ごとララ♪ちゃんを愛し、その痛みに寄り添います。
ララ♪ちゃんの心に刻まれた深い傷は、おそらく消えることはありません。しかし、その傷は確実に癒え、小さくなってはいるはず。
「生まれてきてくれたことに感謝」とあささん
「ララ♪が生まれてきてくれたことに感謝したい。生後1年がありえないほど過酷だったからこそ、生きていてくれ、甘えてくれ、私たち夫婦のことを信頼してくれることにありがとうと言いたい。ララ♪のおかげで、たくさんの猫好きさんの愛に触れることもできました」
優しさのリレーによって紡がれた小さな命は、暴力ではなく愛情を自分に向けてくれる人間がいることを知り、スクスクと成長し続けています。
今はあささん夫婦と穏やかな日々をすごす
辛い過去はゆっくりと消し去り、楽しくてラララ~って歌っちゃうくらい幸せになろう。そんな優しい約束はララ♪ちゃんの心にも届いているはず。私たち人間は動物に恐怖を植え付けることと心を救うことの両方ができるからこそ、自分よりも弱い存在を守る強さを持っていきたいものです。
<文/愛玩動物飼養管理士・古川諭香>
⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】古川諭香
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:
@yunc24291