
(画像:関西テレビ『怪傑えみちゃんねる』公式サイトより)
上沼さんをカリスマとして君臨させたきっかけは、なんと言っても「視聴率」。高い数字の前に、上沼さんに意見できる制作者は誰もいなくなったのだそう。
「大阪のテレビ界は東京に輪をかけて視聴率至上主義なんです。しかしながら、視聴率を獲得するノウハウはまるで持っていない。
上沼さんや故・やしきたかじんさん、現在の吉村府知事などタレントパワーで数字が獲れる人は無策の在阪局において神様です。そんなふうに各局、視聴率の女神である上沼さんに依存しきっていました」(制作会社取締役)
視聴率の女神とも呼ばれた上沼さんは、ひと頃はNHK『バラエティー生活笑百科』(初回から2013年9月28日放送回まで28年半レギュラーをつとめ降板)を筆頭に、毎日放送、朝日放送、関西テレビ、読売テレビと関西主要地上波のすべてに冠番組を持ちました。すなわち在阪の放送局を制覇していたのです。
この時期の女帝ぶりを、かつて上沼さんの番組に要職で参加し、現在は関西を離れているある人物は、こう話します。
「特に『快傑えみちゃんねる』が毎週月曜日オンエアだった時代(番組開始の1995年7月から2009年3月まで)の快進撃は本当にすごかった。視聴率が20%を超えるなんてザラでした。
ダウンタウンがMCをつとめたフジテレビの人気音楽番組『HEY!HEY!HEY!MUSIC CHAMP』の2時間特番を放送する際であっても、視聴率で勝っている『えみちゃんねる』はその座を譲りません。『HEY!HEY!HEY!』は仕方なく関西のためだけに異例の『2時間特番の1時間バージョン』を編集せざるをえないほどでした。当時の関西はダウンタウン<上沼恵美子だったんです」(旧・関係者)
敏腕マネージャーが各局のプロデューサーを束ねていた

2002年発売上沼恵美子「笑顔を咲かせましょう」ZETIMA
全国ネットの番組を相手取ってもビクともせぬ不動の人気を得た上沼さん。次第に上沼さんはタレントから「女帝」へと駒を進めてゆきます。
「今年の5月で退職したという元芸人の女性マネージャーが、とにかく腕利きでした。たとえば上沼さんが可愛がっていた犬が死んだら、すぐにすべての番組のプロデューサーへ連絡し、犬への弔辞を書かせる。そして合同葬儀を開かせていました。
それがどこまで上沼さんの意思だったかはわからない。けれども関西のテレビ界は、いつしか上沼さんに忠誠を尽くすのが当たり前という雰囲気になっていったんです」(旧・関係者)
関わる番組すべてのプロデューサーを束(たば)ねるほどの敏腕女性マネージャー。彼女は番組の収録が終わるたびに一斉に「収録現場の雰囲気を、局の垣根を超えて各番組プロデューサーに報告した」と言います。そこには、ある理由がありました。
「収録中に上沼さんが『このゲスト、気に入らへん』と感じたら、すぐにマネージャーが他局の番組へ通達します。すると他局のブッキングも白紙に戻るんです。すごいでしょう。上沼さんの番組は出演する人がわりと決まっていて、しかも突然どの番組にも出なくなる。その背景には、そういう理由があるんです」(旧・関係者)