
2011年1月16日から放送の冠番組「上沼・高田のクギズケ!」(画像:読売テレビ公式サイトより)
他局の番組制作をも変えてしまう上沼さんの影響力。そういったピリピリした雰囲気は一般視聴者へも伝わります。視聴者が上沼さんをカリスマとして崇(あが)めるに至った背景にも、マネージャーの尽力がありました。
「マネージャーによるカリスマ性の演出は徹底していました。一般視聴者をスタジオに入れる公開収録や公開生放送の番組では、本番直前まで観客は上沼さんの姿を見ることはできません。『上沼さん専用の移動できるカーテンつき装置』で姿を隠しながらスタジオの立ち位置まで誘導していました。上沼さんは本番と同時に現れる神秘的な存在なんです。
庶民派として人気の上沼さんでしたが、街で一般人にサインを書いたり、2ショット撮影などの要望に応じたりした例は、知る限り一件もないはずです。ブランディングの徹底ぶりは矢沢永吉に匹敵していたかもしれません」(旧・関係者)
キンコン梶原に怒ったきっかけは挨拶メールが来なかったこと
移動式の秘密のヴェールに隠されながら、圧倒的な話術で視聴者を心酔させてゆく上沼さん。しかし……ここ近年、上沼さんのセンスと一般視聴者の感覚とのあいだに乖離(かいり)を感じるスタッフも増え始めたのだそう。上沼さんの番組に携わった経験がある40代の制作スタッフのひとりAさんは、こう語ります。
「上沼さんはとっても義理堅い人なんです。たとえばサンドウィッチマンの伊達が結婚したとき、『自分が初めてM-1で審査員をつとめたチャンピオンだから』と、驚くほど高額な祝儀を包みました。そんなふうに人情に厚い部分もあるのです。けれども、誰もが自分と同じようにやって当たり前だと考えてしまうんですね。自分の次男を放送作家として番組に参加させてしまう公私混同ぶりも、そういう考え方からきているんだと思います」(制作スタッフA)
恩や出会いに報いたい、そういった温かな気持ちを抱く上沼さん。しかし、他者にも同じレベルの感謝を求めてしまう。その考え方に、年下の出演者や若い視聴者とすれ違う原因があるようです。共感が得られなくなり、視聴率も、ひと頃ほど高い数字を獲れなくなってきました。

以前は自身のラジオのアシスタントにするほど梶原を気に入っていた(画像:「上沼恵美子のこころ晴天」ABCラジオ公式サイトより。現在は梶原の名前と画像は削除されている)
「キングコングの梶原を公開処刑のような状態に追い詰めてほとんどカットとなった収録回も、きっかけは『収録当日に梶原から挨拶のメールが来なかった』、たったそれだけが原因なんだそうです。
新型コロナウイルスの影響で2か月も大阪へ来れなかった梶原は、当日に上沼さんの楽屋へ直接挨拶へ出向くつもりでした。ところが上沼さんは梶原からのメールの着信を確認するために、なんと朝6時から起きて待っていたそうなんです。
どっちが悪いわけではない。価値観の違いですよね。でも僕らの感覚で言うと、梶原が特に失礼だったわけではないんだよなあ」(テレビ制作者A)
ちなみに現在はサンドウィッチマンの伊達とも袂を分かつ状態なのだそう。原因は「M-1で同じ事務所のカミナリを酷評した理由を質問したから」なのだとか。
では、さらに世代が隔絶している30代の制作者Bさんは、上沼さんをどのように観ているのでしょう。