性的な行為を通し、相手と何かしらの関係性を築いたり、関係性の確証を得たいと思う欲求。そこで生まれる関係性は、社会的なもの(恋人、夫婦)、概念的なもの(支配、一体化、服従)などがある。

挿入は他者の身体の内部に侵入する行為(身体境界線の侵犯)であるので、侵略、支配、汚す、同化といった意味を見出しやすい。この傾向は、避妊をしない挿入行為の方が、行為後にも相手の体に関与し続けられる可能性が高いので強くなる。肉体的快感以上に、行為に見出す意味合いから得られる思考的快感が強いところが特徴。
また、それらの関係性を通し、自己肯定感やアイデンティティーを確立していく欲求(承認欲求)もある。例えば、性の対象になることで自身の女性性を強く感じるケースなどである。この時、女性という物体として求められていることと、内面的な部分も含む個人として求められていることは意味が違うが、混同してしまいがちである。

感情より経済的視点を優先させた結婚におけるセックスは、肉体を物体と捉え、差し出す、獲得といった交換的意味になりやすい。妻の肉体を自分の所有物と考えている夫、それを当然のことと思っている妻は、一見うまくいっている夫妻に見えるが、感情を持つ人間を物化しているので、セックスの満足度に差が開きやすい。しかし、愛という抽象的な言葉を使って、そこに気づかないように目くらましされている。
また、射精場所へのこだわりによって見出される意味は変わり、AVでよく見られる顔射は、性的に汚れたことを象徴している。職業をイメージさせる衣装への射精は、記号的で概念的要素が強い。いずれにしても、射精する側の一方的な思い込みであることが多い。
赤ちゃんが母親に抱っこされて感じている快と同様な、原始的な快感を得たいと思う欲求。接触する場所は、口、頬、手足、肌、目といった性器以外の所で、性器同士による接触に比べると穏やかで優しい快感である。言葉にすると、落ち着くや幸せといった表現になる。相対的に弱い快感なので、性器を重視する考えが強いとそちらに気を取られ見落とされてしまう傾向にある。
以上が男性の性欲の分類です。おそらく、夫さんが相手の女性に抱いている欲求は、(3)関係欲だと思われます。思考的快感なので、挿入行為がなくとも何らかのつながりが見出されれば快や喜びを感じます。これを高尚といえるのかというと、素直に認めることはできません。