ほのかさんは、父が起こした事故をこう分析しています。
「子どもながらに不思議だと思ったのは、脱輪した場所なんです。田んぼと言っても、牧場があるような広大な土地。偶然にしては、死体がある場所にピンポイントで車輪が落ちる確率を考えたら、すごく低確率ですよね。
本人はどう思っているか分からないですが、父親の周りでは不思議なことが起こりやすいんです。以前も、酔っぱらって、遺骨を拾ってきて、交番に届けて驚かれたり……。そんな体質なので、今回も『見つけて欲しい』というご遺体の思いが父を呼び寄せたのではないかと思いました」
まだまだ、ほのかさんの心配は尽きないそう。
「父はいくら引き寄せやすいとはいえ、交通事故という形で父の身にまで危険が及んだのはこのときが初めてでした。父もだいぶ歳をとったので、もし今同じようなことがあれば、当時のように無傷では済まないかもしれません。加齢と共に不思議な力も鈍っていることを祈りたいです……」
―シリーズ「
怪談・ゾッとする話/不思議な話」―
<取材・文/阿佐ヶ谷蘭子 イラスト/カツオ>