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35歳の怪演女優・松本まりか。悪女も妖怪も演じきってブレイクのわけ

声優として活躍しながらも、“声”に悩んでいた

 2000年に女優デビューした松本まりかさんのキャリアは実は20年にもなります。  ドラマや映画などの女優活動だけでなく、ゲームファンには『FINAL FANTASY X』(通称:FF10)のリュック役の声としてもおなじみです。この役をやった当時、松本さんは高校生でした。  他、安野モヨコ原作のアニメ『シュガシュガルーン』(テレビ東京系)の主人公・ショコラ役や、現在放送中の『中居大輔と本田翼と夜な夜なラブ子さん』(TBS系)でのナレーションを務めるなど、声の仕事でも多数活躍されています。  しかし、そんな芸達者な松本さんでも、『ホリデイラブ』でブレイクするまでは長い道のりだったとか。2019年に放送された『有田哲平の夢なら醒めないで』(TBS系)にて「あまりに人生が退屈」「売れないことに飽きた」と売れない時期を振り返るなど、苦労を積み重ねていたようです。  彼女を悩ませたのはその特徴的な声。声優として活躍しながらも、助演女優として出演するにあたっては、作品から浮かないよう「どうしたらみんなが鼻につかないかな?」と、自分を抑えながら演技をしていたのだと言います。

鼻にかかった声だからこそ、唯一無二の悪役を演じられる

 しかし、彼女の魅力はむしろ、その「少し鼻にかかった声」そのものではないでしょうか。『ホリデイラブ』や『竜の道』で見せた小悪魔的な印象は、その特徴的な声なくしては語れません。  鼻にかかったような声には、「ぶりっこなの?」と反感をおぼえる人もいるでしょうが、その違和感こそが悪役としての最高の武器。男性が好感を持ちそうな魅力的でかわいい容姿であることも、小悪魔感をさらに増大させます。  悪女女優として名高い菜々緒さんのように、画面に出てきただけで、細かな描写や説明なくとも一波乱起こしそうな予感を感じさせるのは、作り手にとって非常に重宝されます。彼女もまたその一人として認められているのでしょう。  加えて、その声は浮世離れした雰囲気をもたらすため、『妖怪シェアハウス』や『死役所』などでの非現実的なシチュエーションにもはまります。本人でさえも弱点と感じていた声ですが、今となっては他の女優にはない唯一無二の強みとなっています。
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35歳でありながら、新鮮でキュートな存在感
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