
「あしたのジョー スタンダード・エディション」東宝
こちらも序盤はツッコミどころが多いのですが、中盤くらいからグイグイ引きこまれてしまいました。その牽引力(けんいんりょく)は、まさしく力石徹を演じた伊勢谷友介の力量によるもの。
限界まで削ぎ落し、鍛え上げ、磨き上げ、剥き出しの感性そのものになっていた減量シーン。肉体のヤバさが何よりの説得力を醸し出していて、それだけでも観る価値アリ。
誰もが知る力石のラストシーンは、知っているはずなのにやっぱり叫びそうになります。
主演の山P(矢吹丈役)も意外なほど良かったのですが、2020年にジョーと力石がこんなことになってしまうとは……。

「STERA NHK ウイークリー ステラ2010年10月15日号」NHKサービスセンター
『銀魂』の堂本剛演じる高杉晋作も最強に儚げで美しかったですが、大河ドラマ『龍馬伝』(NHK)の伊勢谷友介の色男ぶりは、何度も脳内で反復してしまうほどの危険さ。
三味線片手に都都逸(どどいつ)を口ずさみ、人知れず血を吐くところを龍馬に見られてしまい、「運命です」と語る諦念の滲(にじ)む美しくも儚いほほえみ。
また、亡くなる直前、龍馬と歩いた浜辺を一人で歩きつつ、志半ばで先立つ悔しさ、寂しさから慟哭するシーン。美しい顔を歪めて涙と鼻水まみれになる様は、涙なしには見られませんでした。