「ゴキブリが目の前で…」“地獄絵図”と話題の殺虫剤。開発秘話を聞くと“あえて見せていた”
先日、ゴキブリ退治の薬剤を使ったところ、ひそんでいたゴキブリが、明るい場所に次々とよろめき出てきて死亡。地獄絵図になったというツイートが話題になりました。
話題の商品はその名も「ゴキブリワンプッシュプロプラス」。キッチンやリビングの気になるスキマに、このスプレーをワンプッシュすると、奥に生息しているゴキブリが姿を現し、目の前で駆除ができるとのことです。
その抜群の効果で、Amazonレビューでは高評価(地獄絵図レビュー)を獲得しており、「商品をワンプッシュして外出。帰宅したら、家のいたるところでゴキブリが死んでいた」「ハッピーエンドのホラー」等、高評価ゆえに目を塞ぎたくなる、コメントが並んでいます。
これは、すごい…。試したいけど、怖い!! 目の前でゴキブリに死なれるのも困る!! なんでこっそり死んでくれないの!? ということで、製造元であるフマキラーに直撃。マーケティング部の戸村彰さんに話を聞いてきました。
――ワンプッシュするだけで、ゴキブリが目の前に出てきて死ぬという、キョウレツな商品を開発した経緯を教えてください。
戸村さん(以下、戸村)「ゴキブリを駆除する商品は、大きく4つのタイプに分けられます。1つ目は、ゴキブリに直接かける『スプレー式』。2つ目は、粘着のりがついた『粘着式捕獲器』。3つ目は薬剤を含む煙を部屋に充満させる『くん煙(えん)剤』。4つ目は、ホウ酸団子のように餌に薬剤を入れた『ベイト剤』です。
家庭の状況や使う場所によって、商品を使い分けていただいていると思うのですが、これらには全てメリットとデメリットがあります」
――どれも使ったことがありますが、それぞれにデメリットがあったんですね。
戸村「はい。まず、『スプレー式』ですが、これはゴキブリに直接かけるだけで、確実にゴキブリが退治できるのですが、使用後はどうしても床が薬剤でベタついてしまいます。そして、『粘着式捕獲器』は、置くだけでOKと手間がかからない一方で、『踏んでしまいそう・邪魔』という声をよく聞きます。
ホウ酸団子のような『ベイト剤』は、ちゃんとゴキブリが食べているのか、死んでいるのか効果が実感しにくく、『くん煙剤』は使用中に、ペットや住人が室内にいられず、家電や食器などをビニールなどで覆う必要があるなど、手間がかかります」
――こうして聞くと、どのタイプの商品も一長一短だったんですね。
戸村「このような、お客様の声をたくさん集めて、新しく考えた商品が『ゴキブリワンプッシュプロプラス』です。ゴキブリに効果抜群の薬剤なのですが、ワンプッシュするだけなので、床もベタつきませんし、事前の準備もいりません。さらに置き場所に困ることもありません」
――たしかに、それはよくわかるのですが、ゴキブリが出てきて目の前で死なれるのが恐怖です……。
戸村「そのような声もよく聞きます。弊社では『駆除したゴキブリの死骸を見たいか』というアンケートをとったことがあるのですが、約35%の方が『見たくない』と答えました」
――ええ!!?? ちょっとまってください! ということは、65%の人が『ゴキブリの死骸を見たい』と答えたんですか!!??
戸村「そうです。正確には『見たくないけど、見たい』という回答でしょうか。というのも、せっかく薬剤等でゴキブリを駆除しても、人知れず家の中で死なれていては困るからです。さらには、本当に駆除できているのか、目で見て安心したい、という声も多く集まりました」
――なるほど…。死骸を見るのは嫌ですが、人知れず家の中で死なれているのはもっと嫌です。
戸村「ですよね。気持ち的な面で嫌というのはもちろんですが、家のどこかにゴキブリの死骸があるというのは、衛生面でも問題があります。ですから、弊社では『フラッシング効果』という、あえて人前まで追い出す効果のある、商品にしたのです」
――あえての人前、だったのですね。そう考えると怖いけど納得します。