「Nがやっとベランダの鍵を開けてくれた時は、怒りより先に熱中症が怖くて、すぐに水分補給して保冷剤で身体を冷やしました」
やっと身体が楽になってきた愛菜さんは、彼に、なんであんな事をしたのかたずねたそう。
「Nはニッコリして『愛菜が可愛いから、つい、いたずらしたくなっちゃった。ごめんね』と謝ってくれたので、とりあえず許しましたが…」
ですが、その後も何度かベランダに締め出された愛菜さんは、Nさんが部屋にいる時には怖くてベランダに出られなくなってしまいました。
「Nに『もう絶対にあんな事しないで!』と何度も言ったのですが、今度はトイレに閉じ込められたりして。そして私もNに謝られて優しくされると、つい許しちゃっていたのも良くなかったですね」
そんなある日、Nさんがいない隙にベランダに置いてある鉢植えに水をあげていると、また締め出されてしまった愛菜さん。
「いつの間にかNが帰って来ていて。油断してしまいました…しかも、そのままソファーでNが居眠りしてしまい、4時間もずっとベランダで過ごすはめになってしまって」
その日はさほど暑い日ではありませんでしたが、熱中症予防のために、仕方なくジョウロ代わりに使っているペットボトルに入っている水道水を飲んだら悲しくなってしまったそう。
「その時にやっと、これってモラハラなんじゃないか?と身の危険を感じて。寝ぼけまなこで『ごめんね!いつの間にか眠っちゃって』とベランダに出てきたNにきっぱり別れを告げました」
そんな愛菜さんに舌打ちをしたNさんでしたが、すんなり別れを受け入れてくれたそう。
「きっぱりとものを言う私には興味がないみたいでした。いくらイケメンでも、もうあんな自分本位な人と付き合うのはごめんですね」
<文&イラスト/鈴木詩子>
⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】鈴木詩子
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:
@skippop