Love

子供はいらない女性、欲しい夫から離婚を切り出された胸の内

生活が始まってみると……

 カナコさんはリョウタさんとは週末2日間、あるいは1泊旅行しかしたことがない。同棲もせずにいきなり一緒に住むようになったのだが、不安はなかったという。 「話し合えばすべて解決する。実際、生活しはじめても何の問題も生じませんでした。お互いにひとり暮らしだったから、それぞれ家事の流儀などはあったけど、妥協案を探り出したり相手に寄り添ったり。とにかく彼と結婚したことで安心感が倍増したんです。  平日も彼はどうしているだろう、今日は会えるかななんて心配をせず、仕事に集中できるようになった。仕事とプライベートの切り替えも上手になったと思います。その結果ですかねえ、結婚して半年ほどで、社内の大きなプロジェクトに副リーダーとして参加できることになったんです」  うれしくて飛んで帰って彼に報告した。彼も喜んでくれたのだが、そのプロジェクトが2年がかりと聞いて、彼は顔を曇らせた。 「子どもはどうするのって彼が急に言い出して。あ、と思いました。私たち、結婚するにあたって未来の青写真をまったく話さなかったんです。子どもをもつのか、家は買うのか、私は地方出身のひとりっ子、彼は東京郊外に実家がある長男。  普通は将来を話し合うんでしょうか。私たちは、ただ一緒にいたいという思いだけで結婚しちゃった。他のことはともかく、子どもについてはそのとき初めて、まったく考えが違うとわかりました」 離婚、破局

彼は子どもをほしがり、私はいらないと思っていた

 カナコさんは子どもをもつつもりがなかったのだ。仕事で自己実現をしたい、そのためには家庭をもたなくてもいいとさえ思っていた。ただ、パートナーはほしかった。手を携(たずさ)えて一緒に歩く人がいれば、家庭という形にはこだわっていなかった。リョウタさんと結婚したのは、「一緒にいたかった」だけなのだ。  リョウタさんも、もちろんカナコさんが好きで「ずっと一緒にいたい」という思いで結婚した。だが結婚という形をとるからには、当然、子どもを持つものだと思い込んでいた。 「子どもへの考え方がそんなに違うとは思ってもいなかった。私はずっと猫を飼っていて、新居にももちろん連れてきていたし、彼にもすごくなついていました。だからもう一匹いてもいいかなあと考えたけど、子どものことは抜け落ちていました」
次のページ 
彼から離婚を切り出された
1
2
3
Cxense Recommend widget
あなたにおすすめ