春夏ドラマの男優ベスト3。綾野剛も素敵だけど「半沢直樹」の悪役が強烈すぎた
新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言のため、撮影が滞っていたテレビドラマ。この異例の事態を乗り越えて、30本以上を数える春夏のドラマがようやく最終回を迎えました。
今回もドラマウォッチャー・林らいみが特に惹かれたベストアクターを独断と偏見で選出。勝手に表彰してしまいます。
名演賞 田中哲司『ディア・ペイシェント~絆のカルテ~』
田中哲司は『ディア・ペイシェント~絆のカルテ~』(NHK総合)で貫地谷しほり演じる主人公の医師に対して理不尽な言動を繰り返すモンスター患者を好演。 黒い服に黄色い縁のメガネの彼が現れたときの緊張感たるや。表情はほとんど変わらないのに声ばかりバカでかくて、得体の知れない恐ろしさと威圧感に満ちていました。あれで子どものように駄々をこねるものだから、その気持ち悪さは始末に負えません。 一方で、介護をする母親と向き合うときにはまったく違う人物像を表現。車いすを押して崖に一歩ずつ近づいていくシーンでは苦しくどうしようもない感情が全身からあふれ出ていて、ただもう胸を締め付けられました。最後にこの人物の正体が知れたのですが、田中哲司の高い演技力に脱帽です。
名演賞 綾野剛『MIU404』
『MIU404』(TBS系列)で機動捜査隊の刑事を演じた綾野剛は調子のいい飄々(ひょうひょう)としたキャラクターがとても魅力的でした。 会話のリズムが軽快でとにかく楽しかったです。絶妙な間とリアクションで繰り広げられるしゃべくりは観ていて飽きませんでした。何より置かれた状況とはギャップのある話しぶりが抜群に上手い。突飛なセリフを違和感なくスラスラと言ってのける様子はどんな脳内コントロールをしているのか不思議に思うほど。与えられた役によほど深くなりきっているのではないかと。 元々素晴らしい脚本ですが、彼だからこそこの登場人物をより昇華させることができたのではないかと思っています。
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