結婚3年目の夫が、会社の若い後輩と浮気していたのだから、妻の怒りはもっともです。お金の工面のために親にまで話をつけた小森さん、さすがに懲りたかと思いきや――。
「奥さんに声をかけられた話も、示談金を支払った話も、もちろん全部先輩に話して『もう会うのはやめましょう』って伝えました。でも先輩の方は奥さんに怒り心頭って感じで『もう、これを機に嫁とは別居の話を進める。お金は絶対に返すから、そんなこと言わないで』って。
こんな状況になっても、私と別れたくないって言ってくれる先輩の気持ちが正直嬉しかった。それから5ヶ月くらい経つけど、結局関係は切れなくて、人目を盗みながら会っていました」
その間結局、男性側は奥さんとの別居には至っていないのだそうです。結局妻にも彼女にも、調子のいいことを言って振り回しているのは男の方なのでは……と勘ぐってしまいますが、“恋は盲目”状態な小森さんの目には、そんな風には写っていないようです。
「先月、また同じ場所で奥さんに声をかけられました。同じカフェに連れていかれて、
今度は証拠写真を持ってこられて、示談金は400万円です、と。実は最初に示談金を払った時に誓約書も書かされてて、ざっくり言うと“次会ったりしたら証拠一つにつき50万円を請求する”っていう内容も書かれていたんですよね。で、8個持ってこられたから400万円。
こんな大金、自分じゃもうどうにもできないからさすがに弁護士のところに相談しに行きました。減額はできるかもしれないけど、裁判になっても勝つのは難しい、と言われています。もう示談にしなくてもいいかなって思い始めたけど、先輩の方はまだ『どうにか会社にバレるのは防ぎたい』って言っているんですよ。
でももう、私には守ってあげられないなあ」
小森さんは悟りを開いたかのように、泣くでもなく淡々と話していました。守ってあげるも何も、自身も危うい状況だというのに――。
このままどうにかお金を工面して、ことを公にされないために示談にするのか。それとも会社にバラされることは承知で、浮気相手として裁判所に呼ばれるのを待つのか。そんな修羅の道しか残されていなくても、最後まで小森さんは「それでも、彼のことは今でも好き」と虚しそうに話していました。
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恋愛・結婚“私の失敗”―
<文/ミクニシオリ イラスト/ただりえこ>
ミクニシオリ
1992年生まれ・フリーライター。ファッション誌編集に携わったのち、2017年からライター・編集者として独立。週刊誌やWEBメディアに恋愛考察記事を寄稿しながら、一般人取材も多く行うノンフィクションライター。ナイトワークや貧困に関する取材も多く行っている。自身のSNSでは恋愛・性愛に関するカウンセリングも行う。Twitter:
@oohrin