確かに。確かにそうなのですが、新人の頃はそんなことを考える余裕なんてまったく、これっぽっちもありませんでした。だって、国際線のチェックインってさまざまな国籍のお客様を世界各国へ送り出すんですよ……。

なかには、特殊なビザが必要なお客様がいたり、別予約で乗り継ぎのフライトがいくつもあったりして最終目的地はどこ?って。いつも緊張していて、ミスのないように業務をこなすことで頭はいっぱい。
チェックインを待っている次のお客様を呼ぶときや、小さなお子様連れのお客様の接客をするときなんかは多分、チェックインカウンターから一歩横に出てこのはかりに自分だけが乗って堂々と体重をさらしていたことでしょう。しかもそれ、頻繁に……ね。見て見ぬふりをしてくれたお客様へは感謝を、見たくなかったというお客様へはお目汚しをした謝罪をしたい気持ちです、本当に。
新人研修真っ只中のあるチェックイン後のこと。先輩スタッフの立ち位置はだいたい新人スタッフのうしろです。そこからチェックイン画面を一緒に確認したり、接客の様子をチェックしたりするのですが。

「
あー、高木さんって52kgなんだ。ふーん」って。
なんのこと?と首を傾げた私がいたのははかりの上。やや難しいチェックインを終えた達成感からなぜかその場所でひと息ついていたのです。
それを見ていた隣のカウンターの先輩や受託手荷物の担当をしてくれる別会社の職員(※)数名からはアハハという笑いが!
(※)受託手荷物の重量測定やタグ貼りのヘルプをしてくれる別会社の方々が、各カウンターのうしろでスタンバイしてくれているのです(当時は全員男性……)。
「うわっ!」と、小さく叫びながらそこを離れたのでした。