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どこからが“毒親”?「あなたのために」が子供の毒になることも

「あなたのためを思って」は子どもではなく親のため

 毒親はそもそも「不安神経症」の場合が少なくないと、高橋さんは言います。不安神経症とは、不安や恐怖を慢性的に強く持ち続け、日常生活に支障をきたす病気です。
親子

ついつい子どものことを心配しがちですが…

「毒親が問題なのは、自分の不安が先立っているのに、表面上では子どものことを考えて子どものために心配していると信じている点です。しかし、親の行動は自分の不安を解消するための行為だから、当然子どもには響かず、むしろ傷つけてしまうこともあります」  例えば「あなたのため」といった枕ことばがついた行動は、大体が親の都合です。こういった押し付けも辛いですが、他にも「あれは向いていないからダメ」「これは危ないから止めなさい」といった行動制限も、親の心配を減らすためにおこなう毒親の典型的な行動だといいます。 「でも面白いもので、相談に来る方のほとんどは、最初は自分の親を客観的に見られていません。むしろ『ウチは仲が良いほうだと思う』なんて話す方も多いんです。ご自分の親を悪く言いたくないという優しい方も多いんですね。ただ、私としては自己否定的な思考の癖がある方は、多くの場合、毒親育ちなのではと思っています」

毒親育ちかも…と思ったら

 程度の差はあれど、子供を害する行為をしている親は意外とたくさんいるのに、毒親育ちであると気づいていない子どもは多い。このミスマッチは一体どういうことなのでしょう。そもそも自分が毒親育ちかもと思ったら、どこから判断すればよいか聞くと、入口はやはり“自分のおかしさ”だと教えてもらいました。 「実は相談に来る方で、親との関係からダイレクトに悩んで話す方は少ないです。なぜなら子どもは親を美化している傾向が強いから。だから『毒親後遺症』がご自身にあれば、全て親の影響だと思っています。この毒親後遺症がご自身に思い当たるかという点から、振り返ってみてはどうでしょう」  毒親後遺症とは、毒親との関係がその後の性格や思考の形成、時には体質や疾患に影響が出ている状態のことです。  過緊張や赤面症、頑張りすぎや無気力状態、自分の意志が自分で分からない、パニック障害、引きこもりなど、心と密接な関係のある病が想像しやすいかもしれません。また心の負担が一般的な病気にも繋がってしまう場合もあるといいます。まさに病は気からの状態です。  そういえば筆者も、親子関係を見直すキッカケは、月に数日突然『燃え尽き症候群』となり、何もできなくなることが続いたのが始まりでした。原因は本音を押し殺す育ち方。その後、我慢が無意識に溜まると燃え尽きてひきこもり、回復にあてるという仕組みがあることがわかり症状は完治しました。  その時から親子関係を見直すことになったわけですが、確かに最初は親子関係の問題だとは全く思っていませんでした。
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40代以降、無理がきかなくなる前に
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