かかとカチコチは卒業。フットケアのプロが選ぶ市販のケア用品
これからの季節、かかとのひび割れなど、乾燥による足のトラブルに見舞われる人が多いのではないでしょうか。丁寧なケアが欠かせませんが、フットケアに関する情報って、フェイスケアやボディケアほど多くはないですよね。
――これから乾燥する時期が続きますが、足に起こりうるトラブルとしてどのようなものがありますか?
西出:まず、外気温が下がり皮膚表面の水分保持力が低下することで、足全体の皮膚が乾燥します。膝やかかとが白っぽくなったり、靴下やタイツを脱いだ時に粉末状になった白い粉が舞い上がったりしたら、皮膚が乾燥している証拠です。
また、かかとは角質肥厚、ガサガサ、ひび割れなどのトラブルが起こりやすいです。というのも、足の裏はもともと、皮脂腺と呼ばれる脂成分を分泌する組織がないため、皮膚表面の乾燥を抑えられなくて乾燥しやすく、特にかかとは動作により体重がかかるため角質が厚く硬くなりやすいのです。それだけでなく、寒さによる血行不良などが原因でターンオーバーが乱れ、古い角質が蓄積して角質層がますます厚くなり、ガサガサ、ごわごわの状態になります。これを放置していると皮膚の表面にひび割れができます。
――空気の乾燥以外にも原因はありますか?
西出:外部の要因としては、秋冬の乾燥はもちろん、室内でも暖房器具の使用によって乾燥しやすくなるので、かかとの角質の水分量が低下し固く乾燥しやすくなります。あとは、サイズの合わない靴を履いていたり、靴紐などで足の甲をしっかり止めたりしていないと、靴と足で摩擦が起こります。体重のかかるかかとの皮膚にはその刺激がさらに強くかかるために、角質が肥厚して固くなる要因になります。
――では、こうしたトラブルの予防法と、実際に症状が出た時の対処法を教えてください。
西出:毎日の入浴後の保湿ケアが不可欠です。お湯の温度は熱すぎず、長湯しないようにしましょう。保湿剤入りの入浴剤を使用してもいいですね。石鹸は弱酸性のものなら皮膚表面のバリア機能を損ないません。保湿剤配合のものは洗い上りがしっとりしますよ。
すでに白い粉が吹いているほど乾燥している状態なら、セラミド、スクワラン、ヒアルロン酸などの保湿成分が配合されている保湿ローションを塗りましょう。保湿力をキープするために、油性成分が配合されたクリームの重ね塗りもおすすめです。浸透性が高く、べとつきが残らないものを選ぶと良いでしょう。あとは、朝に靴下やストッキングを履く前に保湿剤を塗ってもいいですね。
――硬くなってしまったかかと用に足やすりが売っていますが、効果はありますか?
西出:はい。足やすりはかかとの肥厚、ガサガサやひび割れケアにおすすめです。皮膚機能を守るために完全に柔らかくなる一歩手前でこするのをやめ、お風呂あがりに保湿剤で柔らかくすれば大丈夫です。入浴から遅くても10分以内に保湿剤を塗りましょう。保湿ケアを怠るとすぐに乾燥し、かえってターンオーバーが乱れて角質の肥厚が起きやすくなるので注意しましょう。
そこで今回は、“アジア初の足の総合病院”である下北沢病院のフットケア担当看護師・西出薫氏に、足の肌ケアについてオススメのケア用品とともに解説してもらいました。