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『恋あた』共演3度目の森七菜&仲野太賀の相性にほっこり

動きが先行する森七菜と仲野太賀の恋

『恋あた』というドラマは比較的説明ゼリフが少なく、過去を回想するシーンなどもない。そのミニマルな演出によって登場人物たちの関係性が最初はうまくつかめないのだが、徐々にあらわになっていく4人それぞれの恋の方向性などが物語をうまくドライブさせている。  それまでも匂わせてはいたが、第4話ではっきりと浅羽と北川が過去に恋人同士であったことが明かされ、樹木はそのことに強くショックを受ける。  井上樹木というキャラクターはいつも感情に身を任せて躍動する人物で、その突拍子のなさが新谷(仲野太賀)を恋の渦に引き寄せたりするのだけど、好きな人の前ではしゅんと縮こまってしまうのが彼女らしいところだ。いつもは感情よりも行動が先行するのに、浅羽の前ではいろいろ考えて動けなくなってしまう。
“動きが先行する”といえば、樹木に徐々に惹かれていく新谷もそうだろう。いつもは冷静に物事を見ているようなキャラクターだけど、「ここぞ」というときに思ってもみない大胆な行動に出てみせる。  第1話では「どうせ私なんか…」なスイッチが入った樹木に対して、壁ドンからの「“どうせ私なんか”スイッチが入ったらまた言って。俺が再起動してあげるから」と一気に詰め寄り、第4話ではついにキスをしてしまった。なんとも油断できない、絶妙なタイミングで不意をつく男である。

3度共演した森と仲野の真骨頂

 結局こういった恋愛ドラマの傾向からして、新谷は当て馬となってしまうのかもしれないが……、ここまでを観ていて森七菜と仲野太賀の相性の良さは特筆すべきところがあるといえるだろう。  実は彼らの共演は3度目。現在放送中の『あのコの夢を見たんです』(テレビ東京/毎週金曜深夜0時12分~)では第3話「透明人間」で仲野演じる山里の親友役を森が演じ、『恋あた』にも通じるようなハツラツとした彼女と寡黙な彼の交流を体現していた。  それともうひとつ。彼女たちふたりの空気感に心惹かれた方はぜひゼクシィのWeb CM『TIFFANY BLUE』も観てほしい。  ティファニーとゼクシィがコラボしたこのショートフィルムでは、森と仲野が恋人役を演じ、ほとんどセリフのないやりとりのなかで緊密な関係性を見事に表出している。『恋あた』では3度目の共演で醸成された空気感が、樹木と新谷の付かず離れずの距離感に説得力を付与しているのだろう。  そして本作で彼らのような“動”の突飛さに相対するのが、“静”の演技が光る中村倫也と石橋静河だ。  第4話までは要所で新谷の存在感が浮き彫りになる展開だったが、きっとここから浅羽社長の快進撃が始まるに違いない。主要キャラ4人のなかでここまで唯一感情が透けてこない役柄なだけに、どういった方向にも転がりうるだろう。 『美食探偵 明智五郎』(日本テレビ)などでも見せた破壊力の強すぎるツンデレや王子様的アプローチを、本作後半ではぜひ期待したいところである。 <文/原航平>
原航平
ライター/編集者。1995年生まれ。『リアルサウンド』『クイック・ジャパン』などで、映画やドラマ、YouTubeの記事を執筆。カルチャー記録のブログ「縞馬は青い」を運営。Twitter:@shimauma_aoi
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